俺とお前のHUG&WALK

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sideKi




突き放した事に、後悔はしていない。
ただ…、間違っているとは分かっていた。




「……俺が…泣かせたんだ…」



俺の事が大好きで、ふふって笑う顔がかわいくて…。
外では弱音ひとつ吐かずに全部溜め込みながら頑張り過ぎちゃう事を知っているから、家では存分に甘やかしてあげたいと…大事にしてきたのに。



『やだ…っ…ごめんなさ…、謝る…謝るからぁ…っ…来るななんて言わな…で…っ……ひっ…うぅ…っ』



徹夜なんて無理にさせて…太輔の方が倒れてしまいそうなのが嫌だった。
心配そうに涙を滲ませるだけで…笑顔を奪うのが耐えられなかった。

だから、早く一人で治そうと…遠ざけたのに。



「…俺は弱い…、自分で追い出したくせに……会えないのが辛い…、余計食欲なんて出なくて…全然元気にならない。
きっと…今だってあいつは泣いてる…、全部全部……俺のせいで…」



一人の部屋に帰って布団被って泣いている姿しか想像できない。
俺に連絡を取ろうとスマホを手に取って、…でもできないって握り締めながら身体丸めて眠る太輔が…脳裏に浮かんで消えてくれない。



「あんな風に…傷つけたくはなかった。…っ…でも…でも俺…っ…太輔がっ…大事で……っ…」



横尾さんは何も言わない。
太輔の事を、同じく大事にしてくれている横尾さんだから、太輔を傷つけた俺に掛ける言葉なんて無いだろう。

せめてみっともない顔は見られないようにと腕で顔を覆い隠した瞬間、涙がぼろっと零れ落ちた。
優しい言葉なんて求めていない事、きっと分かってくれているから…そこだけは楽だった。



「…ね…よこーさん……俺は大丈夫だから…太輔の様子……見に行ってやってくんない…？
あいつ…きっと今頃……泣いてると思うんだ…っ」
「……みつだって泣いてるじゃん」
「俺はいいんだよ……俺はいいから…たいすけ…っ」



もう、一度涙が溢れたら我慢できなかった。
横尾さんに全部聞かれてるって分かってても気持ち抑える事なんてできなかった。



太輔…太輔ごめん。

泣かせてごめん…
傷つけてごめん…
一人にさせてごめん…
体調が元に戻ったら、必ず会いにいくから…
傷つけた事、許してもらえるまで何度でも謝るから…
そう、情けない涙声で呟いた。



胸が押し潰されそうに苦しくて、息が思うようにできない。
だんだんと過呼吸気味になりながら泣き続けていると、ここにいるはずのない甘い香りがふわっとして…ぎゅっと優しい温もりに包まれた。

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