俺とお前のHUG&WALK

食欲不振 1 ページ13

13、食欲不振
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今日の朝一の仕事はLIVEの一部変更点の確認と打ち合わせ、その後は冠番組の収録二本撮りだから一日中メンバーと一緒だ。
ドラマの撮影の間なんかは特にソロでの仕事が増えるから、こうして気心知れたメンバーと一日一緒にいられる日は自然と心も軽くなり楽しみが増す。

スタジオの廊下を歩いていると前方に見慣れた背中を見つけて名前を呼んだ。



「わーたー」
「あ、おはよう太輔」
「おはよ」



わたは振り返って俺を見ると優しい表情になって俺が追いつくのを待ってくれている。
小走りに駆け寄ると顔を覗き込まれて頭をポンポンと撫でられた。



「わた？」
「うん、今日は顔色良いね」
「えへへ…だって今日はずっと皆と一緒だから昨日は日付が変わる前に寝たんだ」
「そっか、偉いね」



隣に並んで楽屋に向かって歩き出す。

昨日は仕事楽しかったと聞かれて、楽しかったよとエピソードをいくつか話した。
そして話をしている間気掛かりなことを思い出してしまって言葉が途切れた。



「…太輔？どうかした？」
「……きたやまが」
「みつ？」
「昨日、連絡したのに返事が無いの。
っていうか、メッセージ既読も付いてなくて…いくら忙しくて返信できなくても既読だけはいつも付けてくれてたから、なんか気になってて」



今日仕事で会えるのだからと朝は連絡しなかった。
疲れて寝ちゃっただけなら朝既読が付くと思っていたのにさっき見た時はまだ付いていなかった。

…心当たりなんてないけれどもしかしてまた知らずの内に怒らせるような事をしてしまったんじゃないかって、仕事が楽しみなのは間違いないけれどほんのちょっとだけ緊張している自分もいた。



「疲れて寝ちゃったんじゃない？
昨日俺とヘビーなロケ行ってたから」
「え、そうなの？」
「うん。相当参ってる感じだったからねー」
「…ならいいけど」
「みつが太輔のLINE無視する訳ないだろ？
もっと自信持てって」
「…ん、ありがとわた」



少し元気出たと笑みを見せると、そうそうって笑ってくれた。

きっと楽屋のドアを開けたら気まずそうに近寄ってきてLINE見れなくて悪かったなと言ってくれるに違いない…、そう思いながらドアを開けた。

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