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「じゃあ、今日はほんとありがとな。
色々話せて…ちょっとスッキリした」
「あ、…うん。それならよかった」
「…じゃ」
「北山」
「…んー?」
一歩進んだところで呼び止められ振り返る。
マスクを外しているのはもう外を歩かなくて済むからで、それ以外に理由なんてない。
俺を見つめる表情は、きっとさっき見たがっていたものと同じなんだろうなとぼんやり思っていた。
「今日は、もうお風呂ゆっくり浸かって、仕事の事何も考えないで寝ちゃいなよ?」
家に着いてからもまたあれこれと思い耽り寝不足にならないようにと、…眠りが浅くて悩んでいるのは自分の筈なのに、俺の心配ばっかりだ。
「…ん、そだな。藤ヶ谷も、ちゃんと眠れるといいな」
「んー?ふふ…なんだか今日はよく寝れそうな気がしてる」
「そ?良かったな」
「良い時間を過ごせたからね」
じゃあ気をつけて帰ってねと手を振る藤ヶ谷に振り返し、先にタクシーに乗り行き先を告げて後ろを向いた。
後続ですぐに乗り込んだ事を確認して目を閉じると尻ポケットに入れてあるスマホが震えた。
「……ははっ、あー…もぉ」
藤ヶ谷また明日ね、おやすみ♪
「……お前だって、そういうとこかわいいっつーの」
とても幸せな気持ちで満たされて、飽きもせずにその一文を眺める。
なんの変哲も無い挨拶文に、見えない愛情に包まれている感じがして、明日はもっと優しい自分になれる気がした。
メッセージを指でなぞると、何故かじわりと視界が滲み出した。
fin
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絢音(プロフ) - みーちゃんさん» ヒ…!このタイミングで初作へのコメントは恥ずかしすぎるけども嬉しい!このタクシードライバーになりたいですね!居酒屋の店員さんでも良きですね!何が言いたいかというと藤北の時間軸に一瞬でいいから入り込みたいですね(*゚▽゚*) (2019年10月27日 11時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃん(プロフ) - タクシードライバーになって、ルームミラーごしに仲良くスマホを覗き込む2人の姿を見る人生は、どこに行けば送れるでしょうか?(笑)帰ったら早速、某雑誌を読み返そう♪やっぱり時折かわいい太ちゃん、時折かっこいいみったんが大好きだ! (2019年10月22日 18時) (レス) id: 8286bf0fde (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - 美結さん» 美結さん、こんにちは♪ほんとにね…あの言葉を取材で北山さんが一体どんな顔して言ったのだろうと思うと頭抱えたくなりますね♪美結さんの好む雰囲気…、嬉しいです(^^)次回作もね、前向きに検討しています♪ (2019年2月26日 13時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - mi-chanさん» mi-chanさん、初めまして♪淡い藤北…表現が好きです!微甘でしたが、読後ほっこりするような作品に仕上げたいと思いながら書いたのでとても嬉しいです!雑誌…究極レベルで悩んでいるのなら買いです(*゚▽゚*)♪ (2019年2月26日 13時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - かなさん» かなさん、初めまして♪某雑誌ネタ、すでに溢れているかなと思ったら案外そうでもなく、シレっと立ち上げてしまいました(笑)両片想いももどかしい感じが藤北…って感じで好きです。また読みたいと言って下さり嬉しいです!前向きに検討しています(^^) (2019年2月26日 12時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年2月23日 20時