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「恵比寿までお願いします」
タクシーの運転手にそう告げて、後部座席に乗り込む。
いつもより近くなる距離に少しだけ早まる鼓動をポーカーフェイスで抑えながら、どこ行くかなーとネットサーフィンを始めた。
「焼肉でいい?」
「やだ」
「は?」
「美味しいお刺身が食べたい」
「俺今日肉の気分なんだけど」
「脂っこいの食べたくない」
「……」
「……」
「……肉も刺身も置いてある創作料理屋で手を打ちませんか?」
「ん、賛成」
いいお店あるかなと言いながら藤ヶ谷がスマホを覗き込んできた。
髪がサラッと掛かり藤ヶ谷の影がスマホに落ちる。
パーソナルスペースにはあまり入ってほしくないタイプだけど、昔から藤ヶ谷だけは平気だ。
多分、ずっと一番近くで同じ時間を過ごしてきたからなんだろう。
「あ、ここは?」
「良さそうだな…ちょっと待てよ〜…」
店に空席確認の電話を入れ、空いていると言われ親指を立てて知らせると、藤ヶ谷は小さく笑って頷いた。
「個室で取ってくれたよ」
「それ大事」
「カウンターでも良いんだけどな、土曜のゴールデンタイムだからちと厳しいよな」
「よくカウンターで呑めるよね。俺絶対無理」
「やっぱ人目気になる?」
「うん。気疲れしちゃうかなー」
「じゃあ今日はゆっくり呑みますか」
「ですねー」
藤ヶ谷は俺のスマホを取って料理や酒のメニューを見始めた。
俺は着いてからでいいやと視線を窓の外に移し、行き交う人々の流れをぼんやりと見つめていた。
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絢音(プロフ) - みーちゃんさん» ヒ…!このタイミングで初作へのコメントは恥ずかしすぎるけども嬉しい!このタクシードライバーになりたいですね!居酒屋の店員さんでも良きですね!何が言いたいかというと藤北の時間軸に一瞬でいいから入り込みたいですね(*゚▽゚*) (2019年10月27日 11時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃん(プロフ) - タクシードライバーになって、ルームミラーごしに仲良くスマホを覗き込む2人の姿を見る人生は、どこに行けば送れるでしょうか?(笑)帰ったら早速、某雑誌を読み返そう♪やっぱり時折かわいい太ちゃん、時折かっこいいみったんが大好きだ! (2019年10月22日 18時) (レス) id: 8286bf0fde (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - 美結さん» 美結さん、こんにちは♪ほんとにね…あの言葉を取材で北山さんが一体どんな顔して言ったのだろうと思うと頭抱えたくなりますね♪美結さんの好む雰囲気…、嬉しいです(^^)次回作もね、前向きに検討しています♪ (2019年2月26日 13時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - mi-chanさん» mi-chanさん、初めまして♪淡い藤北…表現が好きです!微甘でしたが、読後ほっこりするような作品に仕上げたいと思いながら書いたのでとても嬉しいです!雑誌…究極レベルで悩んでいるのなら買いです(*゚▽゚*)♪ (2019年2月26日 13時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - かなさん» かなさん、初めまして♪某雑誌ネタ、すでに溢れているかなと思ったら案外そうでもなく、シレっと立ち上げてしまいました(笑)両片想いももどかしい感じが藤北…って感じで好きです。また読みたいと言って下さり嬉しいです!前向きに検討しています(^^) (2019年2月26日 12時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年2月23日 20時