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あの時もそうだった。


病院の廊下でぶつかった、

あの瞬間。


亜嵐くんは

強引にひとりで片付けて

しまったんだ。



「あの、でも……2人が遊ぶところに突然やってきたのは私だから」



亜嵐くんを

振り切って持っていた

お皿を、

そのままキッチンまで

運ぼうとした途端。



「あっ」



慌てたのがいけなかった。

テーブルの脚に、

つま先が当たって

皿ごとひっくり返りそうになった。



「きゃっ」

亜「危ない!」



前のめりに倒れ込む私を、

亜嵐くんが間一髪で

受け止める。



この感触。

感覚。



亜嵐くんの細くても

力強い腕が

私を支えている。



やっぱり、そう。

あの日と同じ………だ。



亜「目、悪いんだろ、もっと落ち着いて」

「えっ?」



亜嵐くんの口から

とっさに出たその言葉に、

妙な違和感を

覚えた瞬間。



はっと気づいたように

目を開いた亜嵐くんが、

表情を強ばらせた。



「………どうして、私の目が悪いこと知ってるの?」




答えはひとつしか思い浮かばない。



それは亜嵐くんが、

メガネ姿のわたしを

知っているということ。




だけど私が学校でメガネを

かけていたのは、

あの日だけ。




『アラン』と呼ばれた

男の子と会った、

あの時だけ。





疑いが確信になって

亜嵐くんを見上げれば、

ふっと、

亜嵐くんの口元が

緩んだ気がした。



亜「君が思ってる通りだって言ったら?」

「あのっ、それって………」



本当のことを知りたいと思うのに、

なんだか怖くなる。

バクバクと大きくなり続ける

心臓を抑えようとしていると、

亜嵐くんが黒い瞳を

私へ向けた。









亜「あの日、君が校庭で落としたメガネを拾ったのは、俺だよ」









………うそ、本当に?


一瞬、時間が止まった気がした。



「じゃ、私が探しているアランは……」



やっぱりそうだ。

この人が、

あの時の『アラン』なんだ。



でも。

あの時の『アラン』なら、

どうして………?




「最初に会った時に、人違いだって言ったのは…?」

亜「どうしてかって?」

「あの時、亜嵐くんが本当のことを言ってくれたら……」

亜「ただ、俺は関わりたくないだけ」

「え、関わりたくないって……何に?」

亜「君ら。第1、第2校舎の人達だっていえば納得する?」



亜嵐くんの鋭い視線が


私を貫いた。

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設定タグ:GENERATIONS , 白濱亜嵐 , 片寄涼太   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ゆーか | 作成日時:2018年1月16日 21時

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