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小さなパニックをおこしているわたしを
面白がる様に涼太くんが笑った。
涼「これから、応援団の練習が本格的に開始するじゃん?そこを撮影してよ!俺たちの本気を撮って、Tシャツにしたらよくない?」
「あ……」
確かに写真プリントのTシャツはみたことない。
応援団の練習風景を撮影して、
コラージュしたらいいかもしれない。
涼太くんの言葉をきいて、
わたしにはできあがりのイメージがはっきり浮かんだ。
うん、
すごくいい。
応援団の楽しい姿を撮ることができたら、
一生懸命な姿を写し取ることが出来たら、
きっと着てるだけで、
そして見るだけでわくわくするような
Tシャツができるはず。
「……分かった。やる。撮る」
涼「おぉ!よっしゃ!」
「でもわたし、プロじゃないから、ありのまましか撮れないよ?」
涼「ん?」
「演出とか、無理だから、」
涼「そんなことAに求めてねーし。やらせ?みたいなこといらないから。ありのままの俺たち撮ってくれたら、感動もん間違いないから!」
自信満々の涼太くんがおかしくて
思わず吹き出してしまった。
涼「よし、おっけー!じゃあ、頼んだな!」
そう言って涼太くんは立ち上がった。
今日は日曜日だけど、
応援団は涼太くんなしで練習している。
本当なら一刻でも早く合流したかったんだろう。
とりあえずよかった。
Tシャツの方向性が決まっただけでも、
涼太くんの時間を無駄にしてないと思える。
すでにグレープフルーツジュースを飲み終えていた
わたしも、涼太くんに合わせて立ち上がった。
涼太くんはさっさとわたしの分まで、
グラスや紙ナプキンをトレイにのせて
片手で軽々と持ち上げる。
さっき買った材料も全部持ってくれているので、
申しわけなくてわたしはあわてた。
「あ、わたしやるよ」
涼「いいから」
涼太くんはさっさとカウンターに運んでしまう。
涼太くんは明るくて楽しい男の子だけど
こんなに気さくな人なんだってちょっと驚いた。
そういえば、座る席もさりげなくわたしが
奥の席に座るようにしてくれた。
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作者名:ゆーか | 作成日時:2017年10月16日 19時