片寄涼太 Stellar…涙 (ページ35)

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昨日の採寸も思っていたより早く終わったけれど

それも涼太くんのおかげだ。

最初は涼太くんはただ早く練習に戻りたくて、

タラタラやっているわたしを

みかねたのかなって思ってた。

でも、その一方で、

男の子と接することになれていない

わたしの恥ずかしがる気持ちを察して

負担を軽くしようとしてくれたのかなって気もする。

今日だって、チア部も応援団も練習があって、

わたしがひとりで買出しに行くことに

なりそうだったのを、

ひとりじゃいろいろ迷うだろうから

って涼太くんが自分から一緒に行くと言ってくれた。

結局、衣装係の仕事をほぼひとりで

やらなくてはならなくなりそうなのを、

助けてくれていくのは涼太くんだ。

意外と優しいんだよな……

と思って、その後ろ姿を見ていたら、

涼太くんがこちらを振り向いた。

涼「ぼーっとするなー、ちゃんと探せー」

わたしははっと我に返った。

ちょっと優しくしてくれたことを思い出して、

見とれてしまうなんて、

本当にわたしってバカみたい。

衣装係として一緒にいるんだから、

その仕事をまっとうしなければ。

わたしは気合を入れ直して、

布が並んだ棚を見つめた。

青軍だから、青の布を探すわけだけど、

比較的大きめの手芸店だから、

ひとことで青い布といってもたくさんある。

薄い水色から、濃紺まで、

そして普通のコットンやサテン、ベロア風まで

色も素材もさまざまだ。

涼「俺、これがいいな」

熱心に布を見ていた涼太くんが

棚から取り出したのは

スカイブルーのサテン地だった。

「でも……汗………」

涼「なに？」

「……汗吸わないから、サテンはどうかなぁ」

涼「あのさ、そういうババくさい理由で、俺のアイディアを否定するのやめてくれない？笑」

「ババ……」

涼「これ、目立つじゃん。これにさ、【2018 青】とかってシルバーで刺繍いれたりしたら、すごくない？」

わたしはその布を手に取った。

確かに少しだけ光を反射するサテンは

体育祭のグラウンドで映えるだろう。

つやつやな、スカイブルーのはちまきを

たなびかせて、応援する涼太くんの姿は

人目をひくだろうなと思った。