片寄涼太 Stellar…涙 (ページ15)

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あまり関わらないようにしよう。そう思ってた。

なのに。

片寄涼太はなにかというと、わたしと夏恋に声をかけて

くるようになった。教室の移動のときとか、

休み時間中のおしゃべりに平然とまぎれ込んだりしてくる。

夏恋たちとおしゃべりしているとき、

わたしはたいてい聞き役だ。

「へー、そうなんだ」
「ふーん」なんて相づちを打ちながら、
聞いていることがほとんど。

で、気がつくと片寄涼太がわたしの隣に座って

「へー」「ふーん」なんて、わたしの真似をして相づちを打っていたりする。

夏「もう、涼太、勝手に話に入ってこないでよ」

夏恋が笑いながら言う。片寄涼太がわざと女の子っぽくいうから、みんなおかしくて笑ってしまうのだ。

そうやってひと笑いさせると、片寄涼太はいなくなる。

しつこくないところが爽やかで、女の子達は

みんなまんざらでもない気持ちで片寄涼太が

いなくなったことを少し残念に思うのが分かった。

どうしてあんな風に自然に振る舞えるんだろう。

人気者だから、自然でいられるのかな？

自然でいられるから人気者なのかな？

ある日のお昼のことだった。

他の子と購買部にパンを買いに行った夏恋が、

ふてくされて戻ってきた。

夏「A、聞いてよ！ひどいの、唐揚げパン、もう売り切れてた、早くない？」

購買部の唐揚げパンは人気があって、

一番最初に売り切れてしまう。

夏恋もお弁当を持ってこなかった日は唐揚げパンを

楽しみにしているのに、今日はいつも以上に

売り切れるのが早かったようだ。

「残念だったね。じゃあ、今日はなににしたの？」

夏「もう、頭にきたからたべない」

「え？」

夏「なにも買ってこなかった」

思いどおりにならないと拗ねてしまうのは

よくあることで慣れていた。

わたしは笑いながら自分のお弁当箱を開けてみせた。

「わたし今日唐揚げだから、あげるよ」

夏「わ！Aママの唐揚げ！美味しいんだよね♪」

「夏恋、ラッキーだよ。今日はおいなりさんもある！」

夏「え、すごい！おいなりさん好き好き！ちょうだい！」

夏恋の機嫌を良くする術はわかってる。

わたしの食べる分も半分になってしまうけど

別にかまわなかった。