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…
「……そう、です。」
分からないと思いつつ、図星なのが嫌なところだ。
足のステップに気を取られると他が疎かになるのは、俺の課題だった。
先生にしか指摘されたこと無かったのに、このヒョンにはバレたらしい。
『スニョンのダンス、すごいから。
よく見てるんだ。だから分かる』
『スニョンもさ、俺に言いたいことあるでしょ？
俺だけ悪いところ教えるのは不平等だから、ヒョンにもちゃんと言ってよ』
真っ直ぐな目に見つめられたら、言葉につまる。
ひとつ自分の思ったことを言ったくらいでどうにかなるような弱いヒョンじゃないのは、もう分かっていた。
「……ヒョンはすごくダンスが上手いけれど、合わせたら違う。若干アイドルよりも裏で踊るようなダンサーの要素が入ってる。
…から、目立つことが多い。上手い分、目を引くから。」
「もっと周りと同じ高さにして、アイドルらしく笑顔を作ったら、いいと思う」
『……っだよね〜〜〜〜、やっぱ俺浮いてるよね？？』
「や、浮いてるとまでは…」
『ダンスしかしてこなかったから表情なんて死んでるだろうし、自分だけを魅力的に見せようとしちゃうんだよな。
あー…兄貴にも言われたことあるのに…』
糸が切れたようにペラペラと喋り出すヒョン。
日本語も出てるしなんだか分からない。
そしたらハッとした顔をしてこっちを見た。
『ちゃんと、グループのひとりとして踊れるようにするから…表情も頑張るし、周りをもっと見るようにする。』
『だから、スニョンも他の人と同じようにおれに対しても指導して欲しいと思ってる。』
俺は、この人を甘く見てたらしい。
真正面から向き合わなかったのは俺の方なのに、ヒョンはまるでヒョン自身が悪いというような目で見てくる。
「…ごめんなさい、ヒョン。」
『謝らないでよ、そんな泣きそうな顔してさ〜』
「ちゃんと言うようにします、」
『うん。おれもちゃんと馴染めるようにがんばるよ。』
さあ、戻ろ！と笑うヒョン。
今まではどう見てもゆっくりな韓国語と弟たちに懐かれてる様子からか、年上には見えなかったのに。
ヒョンの華奢な背中はすごく年上のように見える。
「天は二物を与えず、のはずなんだけどな…」
いつだか言った言葉を反復する。
そんな言葉をぶち壊すような人。
だけど、やっぱり天は二物を与えないのかもしれないと知るのは、もう少し後。
…
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せる(プロフ) - チェさん» ありがとうございます！これからも楽しんでいただけたら嬉しいです^^♡ (2023年1月16日 1時) (
レス) id: d551e89fe1 (このIDを非表示/違反報告)
せる(プロフ) - ちょんちょんいさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…！期間が空いてしまいましたがゆっくり書いていこうと思います！^^！ (2023年1月16日 1時) (レス) id: d551e89fe1 (このIDを非表示/違反報告)
チェ(プロフ) - お話大好きです~~ㅠㅠ (2023年1月15日 3時) (レス) id: 5cde12fd59 (このIDを非表示/違反報告)
ちょんちょんい(プロフ) - 今いちばん楽しみにしている作品です！これからも頑張ってください！ (2022年10月2日 18時) (レス) id: 6eafd3ba10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せる
| 作成日時：2022年9月27日 2時
