君が嫌う体温【krsm】 ページ7
死ネタ
ちょっと重い
カチャと、新品のカトラリーが音を立てる。
俺の料理までは作らないがやはり一緒に食べたいと言う気持ちはずっと変わらないらしい。
そのせいで外食はめっきり減って、料理の腕が上がったらしい。最近よく愚痴られる。
お前も一緒に作ってみれば良かったのに、とな。
生憎料理は俺の守備範囲内じゃない。
また、今度。
｢今日の目玉焼き、いい焼き加減だと思うんだ。｣
彼は自身の皿を撫でながらこちらを伺う。
｢ああ、そうだな。いい色をしてる。｣
いつもなら声が小さいとか、聞き取りずらいとか言って、笑ってくれるのだろうか。
彼はふっと笑い、テレビの方を見た。
｢やっぱコーヒーってブラックが1番うめぇよな。
ああ、でもあいつはガムシロップとかそのまま食えるんだっけか。｣
｢らしいな。｣
｢すげぇよな。｣
こいつとなら、この静寂も痛くないと思っていた日が懐かしい。
一般的には昼と呼ばれる朝も早々に過ぎ、彼は持ち帰った仕事の書類とにらめっこ。
最近になって仕事に根を詰めるようになったのも、多分俺のせい。
｢うわ、めんどそうなのやってる。｣
ひらりと落ちた紙を拾い上げ、彼に渡す。
｢…！｣
｢なにびっくりしてんの。｣
｢ふふっ、ありがと｣
笑った彼を見たのは久しぶりかもしれない。
｢じゃあ、俺はそろそろ行ってくるわ｣
｢うん、待ってる。｣
＊
まだ少しひんやりとする陽気。
そう感じるのは
薄い煙が空を舞い、悠々と踊る。
彼の元へ向かうように。
消された火はなんだか切なかった。
＊
俺お前に会えて良かったよ。
でもただ、一つだけ。
お前は俺に囚われないで欲しい。
母さんなんて俺のせいで寝込んじゃった。
だから、お前は。お前だけは。
幸せでいて欲しい。
新しい人見つけたら紹介してよ。
俺、応援するから。
でも、もしわがままを許してくれるなら。
その新しい人を迎えるまでは君の料理を見せて欲しい。あわよくば、俺の食器も。
物は使われないと風化しちゃうから、早めにな。
じゃあまた、今度。
───────
あとがき
お待たせしました！本当は先週末投稿する予定でしたがデカめの風邪をひいてしまい、遅れました。皆さんもクソ寒い外を半袖で歩くなんてことしないように気を付けてください。
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アサギ(プロフ) - つくねさん» コメントありがとうございます！返信が遅れて申し訳ないです！言葉選びは自分でもかなり気を使っているので褒めて頂けてかなり嬉しいです。応援ありがとうございます！ (12月21日 23時) (
レス) id: e6d6a81c58 (このIDを非表示/違反報告)
つくね(プロフ) - 初コメ失礼します！言葉選びがどれも美しすぎませんか！？もう推しが尊すぎて悶えてました……！応援しています！！！ (11月6日 23時) (レス) id: 8fd93ec4db (このIDを非表示/違反報告)
奏<そう>(プロフ) - 絵が上手い…!!好きだ…嗚呼…(言葉にならない感動) (5月23日 20時) (レス) @page8 id: 4d184c9d16 (このIDを非表示/違反報告)
まりん - 遅くなってしまいすみません…！sm×knの方も最高でした…！リクエストお答えくださりありがとうございました！！😭これからも更新楽しみにしております…！ (2023年5月4日 12時) (レス) id: b747b8200d (このIDを非表示/違反報告)
アサギ(プロフ) - まりんさん» コメントありがとうございます。希望に添えてて良かったです！ちなみにですが『茜を飲み込んで、その後に』の続編(smkn)も書くつもりなので是非読んでください！ (2023年4月27日 23時) (レス) id: e6d6a81c58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサギ | 作成日時：2023年4月20日 21時
