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｢ご飯は食べた？｣
横に首を振った。
こうしていると子犬を拾ったようで可愛い。
適当に余っていた物で簡易的な食事を作り、出す。
机に置くなり、彼はタガが外れたように食い出した。いい食いっぷりで流石育ち盛りと言ったところ。
生憎寝床は俺のベット一つしかないから一緒に寝る？なんて聞いたが彼はそっぽを向いて｢いい｣とだけ言い、座布団を枕にしてすぐに寝た。
もうちょっと可愛げがあってもいいのに。
髪を撫でると微かに眉を動かす。
その仕草が、なんとも言えぬ優越感を誘った。
＊
目が覚めると見慣れない天井があった。
微かに香る柔軟剤の匂いに、住み慣れないような心地。
ワンテンポ遅く、俺はnakamuの家に来ているということを思い出す。
実際、横を向けば実に可愛い可愛い寝顔があった。
さて、ここからどうするか。
昨夜nakamuに話したことは半分嘘で半分本当だ。
俺には両親に手を上げるなんて肝はない。
喧嘩した翌日、両親が出かけている間に少しだけ準備をして、飛び出した風を装ったのだ。
｢少し頭を冷やしてくる｣と書きおいたが、俺の親のことだ、探しに行くなんて不毛なことはしていないだろう。実の所、nakamuに会いたかった、それだけだ。
祖母の家でたまたま置いてあったnakamuからの暑中見舞いを見てから、動かずにはいられなかった。
忘れられなかった。
nakamuの来訪がぴたりと止んだあの夏。
蚊取り線香の匂いに、止まらない汗。
玄関口で待っていても一向に来なかった。
その時の紙には｢好き｣とだけ小さく、濃く、不格好な字で書いた。
彼への好意に気付いたときは驚いたが、嬉しかった。中一の夏、背の伸び切ってない俺に出来ることはこれぐらいだった。
少しだけ泣いた。
俺は、まだ小さかったころの淡い夏を彼と一緒に見つけたかった。
髪を撫でても構わずにぐっすりと眠っている。やっぱりこれは変わらない。
まだ外では雀すら起きていないだろう。
薄明るい室内に響くリップ音なんて誰が気にするんだ。
誰にもバレないように、誰も驚かせないように。
早く、早く気づいてよ。
｢nakamu、なかむ。｣
もう一度響くリップ音に君は気付かず眠っていた。
━━━━━━━━
あとがき
なかなかにムズムズする終わり方をしたなと自分でも思ってます。でもこれは続きを書くと、淡い感じを私の技量では残せないのでこのままです。
このnkさんはshさんのことを弟のようにしか見ていません。shさんもそれに気付いてる上でもどかしくなっている状態です。
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アサギ(プロフ) - つくねさん» コメントありがとうございます！返信が遅れて申し訳ないです！言葉選びは自分でもかなり気を使っているので褒めて頂けてかなり嬉しいです。応援ありがとうございます！ (12月21日 23時) (
レス) id: e6d6a81c58 (このIDを非表示/違反報告)
つくね(プロフ) - 初コメ失礼します！言葉選びがどれも美しすぎませんか！？もう推しが尊すぎて悶えてました……！応援しています！！！ (11月6日 23時) (レス) id: 8fd93ec4db (このIDを非表示/違反報告)
奏<そう>(プロフ) - 絵が上手い…!!好きだ…嗚呼…(言葉にならない感動) (5月23日 20時) (レス) @page8 id: 4d184c9d16 (このIDを非表示/違反報告)
まりん - 遅くなってしまいすみません…！sm×knの方も最高でした…！リクエストお答えくださりありがとうございました！！😭これからも更新楽しみにしております…！ (2023年5月4日 12時) (レス) id: b747b8200d (このIDを非表示/違反報告)
アサギ(プロフ) - まりんさん» コメントありがとうございます。希望に添えてて良かったです！ちなみにですが『茜を飲み込んで、その後に』の続編(smkn)も書くつもりなので是非読んでください！ (2023年4月27日 23時) (レス) id: e6d6a81c58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサギ | 作成日時：2023年4月20日 21時
