film15 逮捕 ページ16
✤
｢これは一体どういう事ですか？｣
ミーティングルームに入った杏奈の第一声はそれだった。
三日間家族旅行で留守にしていたため、久しぶりに雷門に戻ってみれば、試合直前だというのに、監督の姿もない。
目の前で顔を両手で覆い、泣き出してしまったつくしを困った顔で見下ろしながら、杏奈は尋ねた。
｢杏奈……大変なの……｣
｢A？一体何が……｣
珍しく顔を真っ青にさせたAが、バインダーを抱きしめながら、震える声で呟いた。
彼女の肩に手を置き、落ち着かせようとしながら問えば、俯いていたつくしが涙を零しながら叫んだ。
｢監督が捕まりましたっ！｣
｢えっー！？捕まった？｣
衝撃の告白に、杏奈は頬に汗を浮かべたまま、目を大きく見開いて、復唱した。
｢どういう事なの？｣
杏奈は目の前で肩を震わせるつくしとAの顔を交互に見つめると、問いかける。
｢三日前のことなんだけど……｣
三日前、ミーティングルームで作戦会議をしていた時のこと。なんでも不正アクセスにより、他国の機密情報に触れてしまい、法律違反で捕まったとの事。
｢そんなことしてたの……｣
｢スパイかもしれませんね…｣
呆れた顔でため息をつく杏奈と、考察する奥入。
Aは、青ざめた顔のまま、ベンチに力なく座り込むと、項垂れたように俯いてしまった。
｢こんな時に限ってあの監督は……監督なしで試合に出るなんて前代未聞よ……｣
額に手を当て、力ない声で呟く彼女に、杏奈達は同情してしまう。
微妙な空気が広がる中、つくしは時計を見ると、残念そうに告げた。
「もうすぐキックオフです、監督は戻れそうにないですね。」
｢とにかくスタジアムに向かいましょう。こうなったら、私たちでなんとかするしかないわ｣
Aは立ち上がると、決意を固めたのか、いつもと同じ凛々しい声で言う。
先程までの不安げな表情は一切消え、別人と思う程だ。場数を踏んでいるだけ、彼女も不足の事態にはなれているらしい。
杏奈は心の中で関心する。一同が、スタジアムへむかっていると、イレブンバンドの着信音が鳴った。
｢あっ、監督からだ！"捕まっちゃった(/∀≦)てへっ♪♪"｣
｢どこから打ってるのよこれ……｣
明日人が最後の顔文字まで丁寧に読み上げれば、隣で覗き込んでいたAが苦い顔で呟く。
｢"今回は牢屋から指示します。(｀・∀・)ﾉｲｪ-ｲ！"｣
｢顔文字読まなくていいんですけど｣
杏奈が真顔でツッコミを入れると、Aはあははと乾いた笑いを零すと、不安げな表情で考え込む。
(やっぱり、緊急作戦……かな？)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 27人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シロナ(プロフ) - 愛音さん» リクエストありがとうございます！水神矢くんは、対王帝戦の前後で、雪乃ちゃんを精神的に支えます。絡みは、少し先のお話で予定しているので、お待ちいただければ幸いです！ (2019年3月20日 22時) (
レス) id: 02fecad83b (このIDを非表示/違反報告)
愛音(プロフ) - 水神矢成龍くんとの絡みをお願いします。 (2019年3月20日 21時) (レス) id: 95fbe585e8 (このIDを非表示/違反報告)
シロナ(プロフ) - あんさん» あんさん、リクエストありがとうございます。鬼道さんとは、星章対王帝の試合で沢山絡ませる予定です！せっかくの幼なじみ設定なので、日常での絡みも増やしたいと思っています(*´艸`) (2019年3月20日 11時) (レス) id: 02fecad83b (このIDを非表示/違反報告)
あん - 鬼道さんとの絡みをお願いします。(￣^￣ゞ (2019年3月20日 10時) (レス) id: 8ea3c89cfc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sirona | 作成日時：2019年2月28日 20時
