【推しの子】月夜の空に真珠の輝きを (ページ21)

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「苺プロのアイです。本日はよろしくお願いします」

　久しぶりだな、この空気感。サイズのせいで威圧感が半端ないけどおのぼりさん二人が横にいるのでいつも通りのテンションで感傷に浸るヒマがない
　それにしても絵にかいたような“監督”さんだ

「どうかしました監督？」
「いや別に」

「なんか怖いね」
「顔が」
「そこ、ひそひそしない」
『はぁーい』

　この二人の世話も大変だ。早く帰りたい

「この子供は？」
「あっ、この子たちは私の子で…」
「マネージャーが子連れで現場にねぇ」

　眼力つよ

「働き方改革ってやつか？」

　意外と物わかりのいいひとだった。お茶目

「時代だなぁ。まぁ現場に犬連れてくる人もいるしなぁ」

　それは初耳
　挨拶が終わったので私たちは三人固まってあまり離れすぎないようにぶらつく
　遠慮なく差し入れもコソ泥したり、お姉さんたちに可愛がられ――るのを阻止。というかそもそもこんながちがちに怪しい子供をわざわざ構ったりしない。いい具合にお兄ぃとルビーにヘイトが集まっているなぁとニヤニヤしているとお兄ぃが逃げた

　あ、こら

「ん、マネージャーのガキじゃねえか
　居るのは構わねえが、泣き出して収録止めたら締め出すからな」

　あ、やべ。お兄ぃが監督に絡まれてる。どうしよ

▶助ける
見て見ぬふりをする

　究極の二択過ぎるんだけど

「あっ、いえ我々赤ん坊ですがそのような粗相はしないよう努めますので！
　現場の進行を妨げないのは最低限のルールと認識しております。弊社のアイを今後とも何卒ごひいきに……！」
「めちゃくちゃ喋るなこの赤子！」
「(やっべぇ)」

　喋りすぎでしょお兄ぃ！ごまかしきれないよ！怪しさ満点だよ！

「どこで覚えたそんな言葉！」
「ユーチューブで少々……」
「すげぇなユーチューブって！！時代だなぁ！！」

　誤魔化されてる！やっぱお茶目だあの監督！

「早熟な子役は結構見るがここまでのは初めて見た。お前も演技とかするのか？」
「いや……演技とかそういうのは…」
「画面としておもしれぇな。なんかに使いたい」

　お兄ぃの顔がそろそろ限界だ。気まずさが前面にあふれ出てる
　そして早熟という言葉では表しきれていないので早々に回収するに限る！

「お兄ぃ！」
「パール」

　てててと走っていき監督を不審者を見るような目で一瞥して(見えてるかわかんないけど)から、お兄ぃの手を引っ張る。さっさと逃げなければ