寝よ？ ページ46
４５．
「‥‥‥」
「ね、マンジロー。寝よ？」
黙ってしまった万次郎に霧璃歌は変わらない笑顔で言う
「！？」
「‥‥え、キリカちゃん、大胆‥‥‥」
「‥‥‥。絶対意味が違うだろ」
驚く男子
「はい、決まりね〜」
「‥‥？‥‥！？‥」
グイグイ行く女子
万次郎は驚きでぴしりと固まっている
(そんなに驚くかな〜？)
「じゃ、おやすみ〜、灰谷兄弟」
「‥！？‥‥！？」
「お〜、おやすみ〜」
「おやすみ」
不思議に思いつつも、霧璃歌は返答も聞かぬまま、万次郎の手を引いてラウンジを出ていった
兄弟で二人きりになったラウンジ
「竜胆ー。さっきのさ、なんか身長、ほぼ一緒だから姉弟みてぇだったな。ボスとキリカちゃん」
「姉弟じゃなくて、双子でしょ」
「あー、確かに双子だわ。なんか、似てんだよな〜、あの二人。そっくりっていうかさ〜」
「そうか？」
「じゃ、なんで双子だって言ったんだよ？ 竜胆」
「いや、言いたいことはなんとなくわかったし、単純に身長が同じって意味かと‥‥」
「ちげーよ
‥‥うん。やっぱそっくりなんだよな、ボスとキリカちゃん。双子だわ」
「今日は一緒に寝るかー、竜胆」
「なんでそうなるんだよ」
・・・・・・・
「ま、待て、霧璃歌。一旦、落ち着け」
「？ 私は落ち着いてるよ〜、マンジロー」
焦った様子で霧璃歌を止める万次郎
どう見ても、一旦落ち着くべきは万次郎の方である
「‥‥はぁ、なんで、寝ることになる‥‥‥」
「マンジロー、寝れてなさそうだし、合ってるでしょ？」
「‥‥‥合ってる」
疲れた様にため息を吐く万次郎に霧璃歌は言う
「それに、昔はよく一緒に寝てたでしょ〜」
「‥‥‥。どこで寝る‥‥？」
「マンジローの部屋」
即答する霧璃歌に万次郎は「はあぁ〜」と長いため息を吐き、呆れたように顔を掌で覆って廊下にしゃがみこむ
(マンジロー、さっきからどしたの‥‥)
「ほら、行くよ〜」
ぐいぐい手を引っ張っる霧璃歌
「場所は？ 分かってるのか？」
もう半分、やけくそのように言う万次郎に、霧璃歌はわざとらしく、え？という顔をする
「え？‥‥‥マンジロー、自分の部屋もわからないの‥‥？」
「‥‥‥」 ピク
万次郎の静かにこめかみを動く音が聞こえた
(はいはい、わかってるよーっと)
「冗談だよ〜。で、場所だっけ？ 知らない」
「‥‥💢‥」
あっけからんと言う霧璃歌に再度、万次郎のキレる音が聞こえた
〈煽りスキル〉
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
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作者名：潮見 不可 | 作成日時：2022年8月16日 17時
