【梵天】元伍番隊副隊長は明鏡止水 (ページ34)

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視線ページ34

３３．

「ま、一か月もすれば落ち着くだろ。すぐ慣れる。‥‥‥でも、キリューちゃんが早くやめてほしいって思ってんなら、結果を出す、とか？」

ニコニコと人の好さそうな顔をして灰谷兄がアドバイスじみたことを言う
試すように。いや、反応を見ている？

(‥‥‥)

「まぁ、究極はそうだよね。ある程度は仕方ないかも」
「‥‥ふーん」
「‥‥‥」

霧璃歌が何とも思ってない表情で言うと灰谷兄は感情がよくわからない顔と声音でふーんと相槌を打つ。灰谷弟は無言だ

「あ、車着た」

(この兄弟は厄介そうだな～‥‥)

霧璃歌は内心でそう思いつつ、目の前に停車した車にためらいなく乗り込む
マンジローと乗った先程の車と違い、こっちは正統派リムジンといった感じだ。車体が長い

どうやら、人数が三人と多いのを気遣って、大きい方を持ってきてくれたようだ。この兄弟がいつもこれかどうかは知らん
一応、ここの黒服は仕事は出来るらしい。霧璃歌のことはチラチラ見ているが‥‥

「は～い、つめてつめて」
「キリュー、つめろ」
「ん？」

つめる必要、ないと思うんだけどと考え事をしていた顔を上げると、気付けば灰谷兄弟に両脇をサンドされていた

(む、‥‥‥リムジンのはずなのに、広いはずなのに、気持ち狭め)

いろいろ思うこともありそうだが、霧璃歌は対して気にした様子もなくスマホを取り出す
今のうちにチェックしておこうと思ったらしい
霧璃歌も現代人だった

(あ、テンチョーからメールきてる)

テンチョーさっきのは姪としての忠告かしら?‥‥‥それとも、お客として?

なにやら、細かいことが気になっているらしいテンチョーに思わず霧璃歌の口から笑みがこぼれる

(めったにスマホで連絡とらないのに‥。印象に残ってなによりだよ～、テンチョー)

おそらく“さっき”とは帰り間際に言ったことだろう
とりあえず、霧璃歌の返答は決まっているよう

キリカ姪とお客、どっちもかな～

送ってすぐ、テンチョーから返信が返ってきた

(これは、よっぽどだね‥‥‥。単に気遣っただけだよ～っと)

テンチョーそう。別に言われなくてもわかってるわ。後が怖いもの
キリカ長生きしてね～

「ふう。‥‥‥ふふッ」

〈叔父さんとメール〉