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気味が悪い。
廊下に飾ってある絵から閉ざされた部屋の襖、全てが何だか怖くなった。何かに見られているような、そんな心地さえする。
花垣はちょっと唇を噛み締めて足早に廊下を進んだ。リビングに戻り、「おけーり」とじゃがりこを食べていた龍宮寺に花垣は抱きついた。突然の花垣に龍宮寺は「?どした」ととりあえず抱き締め返してやった。
花垣はプルプル小さく震えていた。完全にウサギである。
「何してんだお前ら」と場地が二人を見た。
「いや、俺もよく分かんねぇ」と龍宮寺は花垣の頭の上でじゃがりこを食べ始めた。
「イザナにでも遭遇したの?たけみっち」
万次郎は優しい声で花垣の背中をツンツンとつついた。花垣は「違います」と龍宮寺の腕の中でマゴマゴと呟いた。万次郎は「そ」とあっさりと引き下がりテレビへと視線を移した。
とりあえず落ち着かせとこ。と龍宮寺に丸投げしたのである。
龍宮寺はそんな万次郎の思考に気が付き、シャアねぇと花垣の好きにさせた。
そんな風にしていると、万次郎が「ねむ」と欠伸と共に呟き一人で勝手に部屋に戻り始めたのだ。
それを合図に場地と龍宮寺、花垣も寝床へ移動する。
「たけみっちトイレ大丈夫?」
「へ、平気っすよ」
「俺の部屋で漏らすなよ」
「漏らしませんよ!」
「そ」
「じゃあお休み〜」と万次郎は寝てしまった。
相変わらずのマイペースだが、それに不本意ながら慣れている場地と龍宮寺は「俺らも寝るか」と布団に潜り込んだのだ。
花垣は先程の事があり、ちょっと怖かったので場地と龍宮寺の間に体を滑らせた。
デカい虎の間にウサギが挟まれているようでこれが可愛かった。
二人は何も言わなかった。何か来たな、と頭の隅で考えたくらいである。
強い二人の間に来た花垣はムフと強くなった気がして、そのまま眠りについた。
あの出来事なんて早く忘れちまおう。そう思っていたのに。
「トイレいきてぇ」
夜中、パチリと目が覚めた花垣は左手で顔を覆った。
尿意である。最悪である。
寝る前に万次郎に笑われたのに、なんで俺っていつもこうなんだろ。辺りは真っ暗、カーテンの隙間から見える外の景色は闇である。
花垣は悩んだ。
トイレには行きたい。だけど先程の事があり行くのが怖い。じゃあ誰かを起こす?んな事出来ない。トイレに行きたいからついてきてってダサすぎる。
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月野 - この手の話、今まで無かったので新鮮でした!とても面白かったです!!更新楽しみにしています! (2022年10月6日 2時) (レス) @page19 id: dccd327fc0 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 軍時さん» まじですか?ありがとうございます!! (2022年9月25日 22時) (レス) id: 1a9036ae39 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 武道可愛いですねw。空になったペットボトルまだ持ってるなんて…。竜胆は武道になにをあげるんだろう。気になります!斑目の設定考えた主さんが天才すぎる!! (2022年9月25日 22時) (レス) @page19 id: 1a9036ae39 (このIDを非表示/違反報告)
軍時(プロフ) - 零さん» 特殊な訓練を受けている彼らだからこそ出来る対処法なので実際には…です笑なのでたけみっちがペットボトルをブンブン!と降っても除霊は出来ないことになりますね、かわいいですね🌼楽しいと思って貰えてとても嬉しいです🥰コメントありがとうございました! (2022年9月25日 18時) (レス) id: 9794be9817 (このIDを非表示/違反報告)
軍時(プロフ) - 零さん» 大丈夫ですよ〜!ゆっくりにはなりますが更新頑張りますね💪 (2022年9月25日 18時) (レス) id: 9794be9817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:軍時 | 作成日時:2022年9月13日 11時