怪異に好かれやすいイザナくん

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なんだ、つまんねと蘭はイザナに持ってきた飴を渡した。イザナはそれを無言で受け取るとパクと食べた。腹が減っていたらしい。


｢あ、竜胆くん｣
｢花垣｣
｢これ俺のお守りにしてるんすよ！｣



竜胆は近くに来た花垣と話してた。花垣の手にはお守りだという空になったペットボトルがある。以前竜胆が花垣に渡したゴミである。



まだ持ってんのコイツと思うが当の本人がニコニコと嬉しそうなので｢そっか｣と竜胆は優しく微笑んであげた。花垣はかわいいウサギさんなので。




ペットボトルを振り回す花垣の横で一番隊副隊長の松野がこれやったのアンタっすか？とちょっと竜胆を残念な目で見てた。竜胆は違うと言いたかったけどあげたのは本当なので｢これがあれば肝試しなんて余裕っすよ！｣と笑う花垣に｢そっか｣と返す事しか出来なかった。



今度ちゃんとした、何かキチンとしたもんでもやるか。竜胆は花垣のツムジを見ながら考えたのだった。



その後、東京卍會の肝試しを見ながら竜胆に並んだイザナが｢あの時｣と話しかけてきた。竜胆は｢？｣とメガネ越しにイザナを見た。イザナの髪が弱い風に揺れキラキラと輝いている。



｢なんで家ん中に入ろうとした｣
｢家？｣
｢神喰村ん時｣
｢あぁ、あん時ね｣



なんで入ったけ…と考えた竜胆は｢確か兄貴からメールがきたから｣と思い出しながら答えた。一番大きな家に来いって。イザナは｢ふーん｣と呟き近くにいた蘭の三つ編みを弄り始めた。蘭は動かない。竜胆は｢？｣とイザナを見つめる。その横顔には笑みが浮かんでいた。



｢蘭。お前家ん中にいるって送ったけ｣
｢……入口に来いって送ったけど｣
｢だよなぁ｣


｢え｣と竜胆は固まった。確かにメールには大きな家とあったのにと蘭を見た。蘭は目を見開きながら竜胆を見つめていた。二人は見つめ合う。そんな中でイザナはフと笑った。


｢化かされたな｣
｢最悪｣
｢やられたわマジ｣


最初から竜胆狙ってたんだ、あのガキ共。
真相に気がついた男どもは少し黙り込み、直ぐにマ、終わった事だからいいやとワイワイと話し始めた。



そんな中でイザナは蘭に貰った飴をソと竜胆の背後に投げ飛ばした。
｢ぎゃ｣と子供の声がする。その様子を見たイザナは何事もなかったように二人の会話に入ったのであった。

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