11.後日談2 ページ11
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ていうかあのバジの恋バナってだけで面白い。
「そんでそんで」と意外にも続きを促したのは三ツ谷であった。
彼は普段から女の子ばかりの部活動で活動しているので恋バナのノリに一番慣れている。
因みにドラケンも慣れている。
しかし聞く内容が聞く内容なので、バジのゆっくりと花開く初々しい恋バナは聞いていて楽しかった。
普段の内容が内容なので。
「いや、普通にお前の彼氏?になりたいんだけどどうすればいいって聞いたわ」
「そこからどうなったかって聞いてんだわ」
「ちょっと待てって言われた」
「待って?」
「おう。少し時間が欲しいって」
ガリガリ君を食べていたパーが「女の待っては長ぇぞ」と呟いた。
それに賛同するように「それを待ってやるのが男の役目よな」とドラケンが言う。
万次郎は我慢しきれない子供のように「え〜、サッサと返事聞きに行こうぜ」と場地の肩を掴んで揺さぶった。
場地は揺さぶられながらも「いや、だってよお」と少し不満そうに話し始めたのである。
「彼氏になりたい、って伝えた後よ。スゲェあいつの顔真っ赤になって。それが何かグ?って来たからさ、何かそのままキスしちまって…」
「は?」
「は?」
「え、なんて?」
「ごめん聞き取れなかった、もう1回言って」
「え、顔が真っ赤になって」
「そこじゃねぇーよ。最後の方だよ、最後の方!」
「?キスしちまって」
ワァー!と場地以外の男共は叫んだ。
怪物を見た時のような大きな声であった。
叫ばれた場地は?と何が起こっているのか分からない猫のような顔をした。
「は、お前マジで。え、マジで?」と三ツ谷が両手で頬を覆う。
「場地やべぇ。やっぱお前スゲェわ」と万次郎は寧ろ尊敬するような眼差しで場地を見ていた。
何かまずかったのか。
場地は不安になって、隣にいた一虎の袖を引っ張った。
これは場地が少し気まずくなった時にする癖であり、一虎が好きな行為でもある。
しかし一虎、この時ばかりは場地を助けてやれなかった。
そもそもお前好きなやついたの。
は?俺知らなかったんだけど。
今知ったんだけど。何で教えてくれなかったん?
俺たち友達じゃんと絶賛一人でオコだったからである。
「…俺やらかした?」
何かに気が付きハ!と少し緊張する場地に野郎共は慌てて「大丈夫!大丈夫だから!」と慰めた。
場地が今にもちいかわのようにワ…となりそうだったから。
ちなみに片手は一虎の服をギュと掴んでいる。
一虎は未だにオコであった。
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作者名:軍時 | 作成日時:2022年9月5日 20時