黒髪の君 Ⅳ (ページ40)

今日:52 hit、昨日:67 hit、合計:721,037 hit

いつかのバレンタインページ40

You side

2016年2月高校2年生

うちの高校は定期テスト前になると午前授業になる

いつもだったら学校終わってそのままレッスンに行くけど生憎今日はレッスンが5時から

早々に生徒がいなくなった教室の窓際の席に座る

いつもだったらサッカー部やテニス部が活動してる声がこの席からはよく聞こえる

けど、今は風の音と学校の前を時々通る車の音しか聞こえない

「あ、おった！」

静かな教室に響いた声

『、急に大声出さないでよ』

私の隣に座って、

「げ、何この量」

横にかかってる紙袋に入ってるチョコを見て驚く

『今日、バレンタインだから』

「今日って女の子が男の子にあげるもんやないん？」

『友達にもあげるんだよ』

「俺より全然多いで？」

でも、袋も持ってないしカバンの中に入ってる気もしない

そんな私の疑問に気づいてこう答えた

「あー、俺好きな人からしか貰わんって決めてるんで」

女の子が一生懸命作ったものを受け取らないのは優しくないって思ったけど、

ジャニーズだから一切期待させないようにする優しさなんだなって思った

『ふーん、そっか』

「、え？くれへんの？」

『みんなに後で渡すから』

「今ほしいっす」

『後でね』

.

チョコを強請ってたのがいつの間にか静かになって横を見ると

気持ちよさそうに寝てる

『、(笑)』

置いてあるカバンにこそっりチョコを入れて、シャーペンをもう1回持ってノートと向き合った