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玲奈さんが動揺している車内にはっぱをかけると、一斉に武器を持った男性を始め、やる気のある人が外に飛び出した。
私も続くように外に出る。
投石で距離をとりながら、江口君ら棒を持った人達が接近戦を仕掛けていく。
わかってはいたけど、やっぱりあの男の顔が敵の中にあった。
何度見ても憎い気持ちが蘇る、許せるわけない。
「また相手してくれんのか?」
目が合ってしまったと思ったら、ニヤつきながら向かってくる。
咄嗟に持っていた棒を振り下ろした。
「そんなん当たるかよ」
「来ないで!」
また手が伸びてきた。
やだ、触らないで、やめて!
「触んなよ」
「萱島さん!」
まるでヒーローのような登場に目が丸くなる。
萱島さんは怒ったような真顔のまま、男を突き飛ばすと私の方を振り返った。
「いいから向こう行ってろ!」
「大丈夫です!ここを守らないと!」
起き上がってきた男とまた掴み合いになる。
私がなんとかしなきゃ。
男の背後に回り、背中を思いきり棒で殴った。
「いって!」
痛がっている間に萱島さんが殴り飛ばす。
やっと一瞬ほっとして、顔を見合わせた。
その時だった。
「うぉー!!」
「え、こんな、」
大勢の向こうの車両の人たちが、武器を持って押し寄せてきた。
こんな、これじゃほんとに戦争になる。
向かってくる人間に必死で棒を振り下ろす。
人を殴る衝撃が手にジンジンと響いている。
「もういいから下がってろ!」
萱島さんに引っ張られ後ろに追いやられた。
でも四方八方から人は襲いかかってくる。
萱島さんもすごく消耗しているようで、ヘロヘロの状態で、敵をからのパンチをもろにうけて倒れ込んだ。
「萱島さん!」
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作者名:藍 | 作成日時:2023年8月20日 22時