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夜になり、静かな車内で冷静になると、私もどうしたいのかわからなくなってくる。
向こうの車両の人が憎いわけでもない、でもここの人達を守る為には、覚悟しなきゃいけないのかも。
文明も何もないこの世界で、今いる人達だけでも協力したかったのに、戦うことになるなんて、、
そして夜が明ける。
ついに、均衡が崩れ始めた。
「ねぇ見てよこれ、とうとう襲われた！向こうの奴ら完全にここをナメてる！これでもまだ暴力反対？！」
長谷部さんが向こうの人間に殴られて、怪我を負ってしまった。
もう戦いは止められない、そういう段階にきてしまったと感じる。
玲奈さんに煽られて、乗客の大半はやる気になっている。
確かに向こうの車両の一部の人間は、危ない人もいるのは事実だけど、このまま争う未来へ進んでいいのか、私自身決めきれないでいた。
「やられる前にやりゃいいのよ」
「現実的じゃありません。人手も武器も足りてない」
「でもまた誰か襲われたら」
「私も、襲われて個人的に許せない感情はあります。でもそれを対向こうの車両にしてしまっていいんでしょうか。これじゃまるで戦争のようで」
「戦争よ、やるかやられるか、もうはっきりさせるしかないでしょ？」
玲奈さんの意見もわかる。
代案も、争わないでいられる方法も、何も言い出せない私は黙ることしかできなかった。
寺崎さんがプランBを考えなきゃと第二の居住地探しに出て行ってからしばらく経った。
残された私たちは黙々と武器を作り、戦いの準備をしている。
不安がどうにも消えない。
それは人と殴り合いの喧嘩なんてしたことがないからビビっているのか。
それとも、ここに彼がいないからか。
鳴子の音が響いて、全員が視線を向ける。
きた、きてしまった。
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作者名：藍 | 作成日時：2023年8月20日 22時
