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「何で来たんだよ!俺は二人とも助かって欲しかった」


泣き崩れそうになる白浜さんを、萱島さんが力強く掴み支える。

まるで、張り詰めていたものがぷつりと切れたみたいに戸惑っていた。


「助けられてきたよ。本当はずっと、助けられてきたんだよ!あの崖の時も、バック無くした時も、俺が逃げそうになった時も、本当は助けられてきたんだよ、何度も何度も」


萱島さんが初めて、白浜さんに本音を全てを曝け出しぶつかっている。
そんな姿を見て、涙を堪える事はできなかった。


「溺れてた俺を引っ張り上げてくれた。命じゃない、ここを救ってくれたんだよ。お前みたいな奴がいるから、この世界も悪くない。だから一緒に行こう。生きよう!何があっても」


彼が生きていきたいと思える世界で良かった。
こんな世界でも、絶対に希望はある。
終わるかもしれない、でも続いていくのなら、そこに白浜さんもいなきゃだめなんだ。

白浜さん、この思いどうか受け止めて。


「未来はあの電車に」

「はい、乗ってます」


泣いて震えたけど、声出てたかな。
ぼやけた視界で、走っている電車を見上げた。

どんな未来になったとしても、
繋ぐんだ、私たちで。


「こっからどうなるか、まだわかんないけど、やれるだけやってみるか」

「やれるだけ、やってみよう」


肩を組んで、笑い合う二人。

私は無性に羨ましくなり、混ざるように駆け寄って、三人で歩き出した。


歩きながら見上げた空は、何事も無いように、青く澄み渡っていた。



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作者名: | 作成日時:2023年8月20日 22時

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