検索窓
今日:4 hit、昨日:61 hit、合計:17,900 hit

98 ページ48

.


「未来でも、ここでも、弱かった俺を助けてくれてありがとうございます。感謝感謝です」


泣いている私を笑いながら、ゆっくり優しく抱きしめられ、私も力強く抱きしめ返した。
ここが、私の居場所だ。
彼の不器用な言葉と温もりは、私の心を溶かしていった。


「A、マジで好きだから、もう悩まないで、Aは強くなった。でも俺もちゃんと守るからさ」


半分照れているのか、抱きしめられたまま、顔が見えずに、萱島さんらしくない甘い言葉を囁かれる。

全部知ったと思ったのに、なんて人なんだろう。
猛烈に顔が赤くなっているのは、自分では見えなくても自覚している。


「萱島さんはずるい」

「まぁガキではないからな」


身体を離して、笑い合ったところで、都合よく電車がやってきた。
二人で手を繋ぎながら同時に乗り込む。


私たちが救わなきゃいけないのは、お互いだけじゃない。

一人で頑張りすぎている、ヒーローを見捨てたりはできない。




仕事をしている白浜さんの姿を確認する。
そして、向こうもこっちに気づいた時に、側に近づいた。


「今日出発するはずじゃ、」

「助けに来た、お前を」

「人を助けてばかりで、助けられる事は想定外ですか?」

「責任感じてヒーローやってるお前を助けに来たんだよ」


信じられないといった表情で、動揺している様子の白浜さん。


.

99→←97



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
93人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2023年8月20日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。