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「俺はあいつらと会ってぶつかって、心のシャッター壊されて、世界変わったんだよ。助けられて今ここにいんだよ!」


その言葉に、未来での出来事が蘇ってくる。
いつ死ぬかわからない、誰が敵なのかわからない、不安と隣り合わせの世界。

みんな取り繕う余裕なんてなくて、だからこそぶつかって、気持ちもさらけ出されて、初めて本当の意味で人と繋がれた。
そして、助けられた。

SNSが蔓延って、人より優位に立ちたかったり、弱い部分は見せなかったり、そんな現代の当たり前は何一つ通用しなかった。
でもだからこそ、わかったんだ。
人の大切さや、人と生きる意味が。


萱島さんと目が合う。
同じ事を考えているのが顔を見てわかった。

そして人をかき分けて、私達は走り出した。



電車のホーム、萱島さんと電車を待つ。

思えば全て始まりはここからだった。
あの日あの電車に乗らなかったら、あの辛い生活も無かった。

でもあの場所で得たものも、いっぱいあるんだ。


「ていうか、何で店に」


萱島さんが思い出したように、口を開いた。
言わなきゃ、私の気持ち全部、


「いや、あの私、やっぱりずっと」

「ストップ!聞いといておかしいかもしんないけどやっぱりストップ。ずっと、貰うばかりで、何一つ声に出して言ってこなかったから」


真剣な表情の萱島さん。
そんな顔をされたら、なんだか勝手に緊張と動揺につつまれて、息をするのを忘れそうなる。

なんだか気まずそうな様子で、重い口を開いた。


「もう、色々とやっちゃったし、今更だし、なんか後出しでダサいけど、Aさん、俺とこの先ずっと一緒にいてほしい。未来が終わっても、続いていっても、ただ側にいて。そしたら何があっても立ってられるから」


この言葉がずっと欲しかった。
いつも掴もうと必死に伸ばし続けていた手を、ようやく握り返してくれたような安心感を感じる。


「私はずーっと、そのつもりです。隕石が落ちて死んじゃうのかもしれないけど、その時も萱島さんの隣にいたいです」


もう涙できっと顔がぐちゃぐちゃだ。
でも構わない。
いつの間にか心に入りこんで、手放せなくなってしまった人が、ようやくこっちを見てくれた。
それだけで、もう何もいらない。


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作者名: | 作成日時:2023年8月20日 22時

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