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「ヒーロー、ボキッと心折れてたぞ」


白浜さんがここにいないのはやっぱり違和感。
私たちのリーダーは白浜さんしかいないのに。

私たちの真ん中には、いつだって白浜さんがいて、励ましたり、背中を叩いたりしてくれていた。
そんな白浜さんがあんなに暗い顔をしていて、私に何かできないかな。



それから一部で私たちの訴えが、新興宗教の陰謀説だと報じられている事を知って、米澤くんは自身で撮影した動画をネット上に投稿した。

これで世論が動くとは正直思えないけど、何もせずにいられない気持ちもわからなくはない。

私たちの訴えはインチキだと片付けられるのか、多くの人たちに届くのかは、まだ何も見通しは立たないままだ。



いくばくかの月日が流れた。

時間が解決するとはまさにこのことで、萱島さんと日々の日常を過ごしているうちに、世間に対する怒りも恐怖も薄まってきていた。

そしてそれと同時に生きたいという、人としての本能らしきものも芽生え始める。

萱島さんと、みんなと、この日本中の人たちみんなが生きて、生き延びられれば。
そのためにできることはしないと。

萱島さんと、話をしよう。


「萱島さん、私たちあんな未来を知ったからには、やっぱり何かしないと。家族や友達や、その他の人たちだって生きていくべきです。この世界で」

「あの未来を経験した、俺たちの責任ね、、あいつが沈んでる間に毒されたな」


そう言って、また戻ったあの日のような笑顔で笑った。

萱島さんも、色々受け入れ始めたんだ。



動き出そうと決めた私たちは、作戦会議の拠点である加藤さんの家に向かう。
グループLINEでみんなの動きは見ていたし、集まる日時も把握していた。

そして家に着くと、まさに新たな進展の真っ只中だった。


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作者名: | 作成日時:2023年8月20日 22時

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