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「ホテル?」

「家は弟が彼女といて、店はこんな状況で、俺いると逆に営業妨害っていうか。てか何であんなとこに、こんな遅く危ないだろ。ただでさえ俺ら目立つんだから」


理由、、、わからない。
自分でも自分がわからない。
でもこうするしかなかった。


「ボロボロで、どうにかなりそうで、死んじゃいそうになってて、そしたら萱島さんが浮かんで、ただ会いたくて、気づいたら足を運んでて」

「ほんと、クソだよな。こんな世界、、せっかく戻ったってこんなとこ、何もねぇよ」


何もない。
確かに、ここには私を苦しめるものしかない。
あれ、なんで私こんな世界にいるんだろ。


「もう、消えたい、、」

「じゃあ一緒に死ぬ?」


真剣な顔で、問いかけられる。
それは冗談なんかには聞こえず、二人の生き死にの選択を委ねられた。

死ぬ、、別にそれもいいのかも。
こんな世界、意味ないもん。


その瞬間私は立ち上がり、萱島さんの元に歩み寄り胸ぐらを掴みながら、唇を押し当てた。

それはキスとは言えないような、ただの動作のようで、色気なんて微塵もないものだった。


「え?」

「もう終わりなら、好きな人と結ばれるくらいいいでしょ?萱島さんがいい、しよ?」

「ふっ確かに、死ぬなら何だっていいよな」


そう言うと、再び唇が交わされる。
そしてそのままベッドへと傾れ込んでいった。

正しいとか、間違いだとか、そんな概念どうだっていい。
互いが互いに縋るように求めた。
それは恋人同士の甘いそれとはかけ離れているけど、そうすることでしか逃げられなかった。



それからの毎日は、片時も離れることなくずっと一緒だった。

寝て食べて、求め合う。
そんな欲望のままの自堕落な日々は、何も考えずにいられて心地よかった。
世界を救うとか、未来とか、そんなのどうだっていい。
もう、こんな世界なんていらない。


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作者名: | 作成日時:2023年8月20日 22時

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