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畑野紗枝
『先生、心配してます。たまにはお家にお伺いしたいです。顔が見たいです。』

白浜優斗
『きっと一時のことです。今辛くてもまた笑える日が来ます』



きっと優しさに包まれた文で、励まそうとしてくれているんだろうけど、ただの文字にしか見えない。

私、変になっちゃった、、、


「萱島さん、、会いたい、、」


とことん地に落ちて、何も無くなった時に、欲したものは萱島さんの存在だった。

会いたい、何も話さなくてもいい、励まされなくてもいいから、ただ彼の元に行きたい。



無我夢中で萱島さんの美容室の前に来てしまった。

でも夜なのですでに店は閉まっていて、どうしようも無くなってしまう。

でもここにいれば会えるかもしれない。
しばらく店の前で待つことにした。


「おねーさん、こんなとこで何してんの?俺らと飲みにでも行きません?」


しゃがみこんで俯いていると、何やらナンパらしき男の声が降ってくる。

かわす気力も無い。
顔を背けてやり過ごそうとする。


「なんか見たことある顔だ、あれじゃね?未来人の!」

「あーえっちな保健室の先生じゃん!白衣が良かったなー」

「そういう趣味なら俺らの相手もしてよー」


気色悪くて吐き気さえしてくる。
世間からこんな扱い受けるような人間になっちゃったんだ、、、
それ以上聞きたくなくて、頭を抱える。


「それとも制服の男子じゃないとダメですか?先生」

「ウケる、変態じゃん」



「人の店の前でやめてくんない?」


聞き慣れた声に顔をあげると、萱島さんがそこにいた。

萱島さんだ、、


「行くぞ」


手を引かれてその場を離れた。
久しぶりの彼の温もりにほっとしたのか、怖かったからなのか、元々おかしくなっていた涙腺はゆるゆるで、涙が止まらなかった。


「家どこ?送る」

「萱島さんの家がいい」

「え?」


驚いて目線が合う。
私の顔を見て何か察したのか、無言でそのまま手を引いて進んで行った。


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作者名: | 作成日時:2023年8月20日 22時

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