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走って後を追うと、部屋を出た先で弟さんらしき人と抱きしめ合う萱島さんがいた。

私が行く時じゃ無いな。
そっと後退り壁に身を隠す。
でも二人の再会が自分のことのように嬉しくて、溢れてくる涙は止まらなかった。

良かった。
これで萱島さんの後悔が消えればいい。
今からでも弟さんと、向き合えるはずだから。



家族の持ってきてくれた服に着替えて、晴れて自由の身になった。

名残り惜しむように、畑野先生、白浜さん、萱島さんと顔を見合わす。


「白浜隊員、畑野紗枝さん、AAさん、未来では大変お世話になりまして、お陰様でこうして戻ってくることが出来て、感謝感謝です。じゃさよなら、お元気で」


頭を下げると、そのままその場を去っていく。

不器用な彼らしい言葉。
でも、これで終わりたくない。

後を追って駆け出した。


「萱島さん!」

「今いい感じに別れたのに、何?」

「また会ってください。もう他人じゃない。これで終わりにしようとしても許しません」

「吊り橋効果じゃなかったらな。平和なこっちの世界で生きて、まだ会いたいと思えたらその時は会ってあげる」


皮肉じみた萱島さんの言葉。
でもほっとしたような顔で笑うから、なんだか安心してしまう。
やっと萱島さんらしく生きれそうだ。


「やっぱりひねくれ君は変わらないですね」

「うっせー」


振り返り片手を上げてぴらぴらと振り、歩き出して行った。

この時は、この笑顔がすぐに奪われてしまうことになるなんて、思えるはずもなかった。



それからは各々、今年の冬日本に起きてしまう大災害を訴えていた。

なんのツテもない自分が情けない。
私に出来ることは、警察に通ってなんとか掛け合うことくらいだった。


「あ、白浜さん」

「Aさん、どうも」


警察署で白浜さんとすれ違い、そのまま歩きながら現状を語る。


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作者名: | 作成日時:2023年8月20日 22時

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