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一方で、米澤くんと玲奈さんが言い合っている。


「元はといえば原因作ったんお前やろ!畑野さん巻き込まれただけやんけ!」

「私の方がいなくなれば良かったって思ってる?どうせみんな思ってんでしょ?!いい子ちゃんの畑野さんよりも私の方がいなくなれば良かったって!」


あの場を経験したのは、ここには私しかいない。
命の危険を感じたあの瞬間、思ったのは誰を助けるなんて優先順位なんかじゃない。
みんなで戻る。私たちの車両に。
それだけだった。

玲奈さん、あなたにも生きててほしい
その一心で彼女を見つめる。


「なによ、二人を置いてとっとと逃げたって責めればいいじゃん!薄情だって罵れば?!別に私は誰に嫌われたって構わないんだから!」

「そんなこと思ってない!玲奈さんがここに戻ってこれて良かったって、本当に思ってる。置いて行ったっていいの、生きててくれるなら」


鼻の奥がツンとして、言葉に詰まりそうになる。
泣くな、こんな状況で泣いたらだめ。
下唇を噛み、拳を握りしめた。



「どうする?」


寺崎さんの冷静さにつられるように、はっと我に返る。

起きたことはどうにもならない、大事なのはこれからどうするかだから。


二人に、注目が集まった。


「あいつを先に見つける」

「なるべく早く戻ります」


そう言うと揃って電車から出て行った。

この非常事態、みんなが自然と白浜さんと萱島さんを頼りにしている。
でもいつもいつも守られるだけじゃだめだ。
私も何かしなきゃ、

出来ることをやりましょうという、寺崎さんの言葉を頭でなぞった。
私にできることか、、


考えた挙句、浮かんだのは向こうの車両の偵察だった。
何かしら情報を得られそうな気がする。


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作者名: | 作成日時:2023年8月20日 22時

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