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「おーい!!ここまでみんなを引っ張ってきたの誰だ!?」


萱島さんの必死な叫びに、みんな顔を上げた。


「こいつを、信じろ!!」


力強く白浜さんを指した。
その言葉に悩んでいた人達は決心したようで、車両に向かって歩き出した。

初めて人を信じた彼が、今度は人を動かしている。
やっぱり萱島さんはすごい。


固まっている江口くんの背中を押す萱島さん。
そのまま小春ちゃんに駆け寄って行った。


「小春!一緒に帰ろう!何があってもずっと俺が側にいるから!」


覚悟を決めた様子で、小春ちゃんを力強く抱きしめた。
小春ちゃんは涙し、江口くんに抱かれ車両に乗り込む。

玲奈さんには明石さんが手を差し出していた。
怖がりつつもその手を取る玲奈さん。

全員が続々と乗り込んでいく。
私も誘導しつつそのまま車両に入った。
そして、最後尾にいた萱島さんがドアの前まで来た瞬間、強風によってドアの前に木が倒れてきた。


「萱島さん!捕まって!」


必死に萱島さんの手を掴もうと伸ばしていると、後ろから二人の男が萱島さんを押しのけて、走り込んで来る。


「どけ!俺が先だ!」


植村さんと加古川さんだった。
彼らは早々にドアを閉めようとする。

ダメ!絶対閉めさせやしない!
反対に思い切り押し開けた。


「もういい!行け早く!」

「ダメ!一緒じゃなきゃ!!早く!」


諦めたように俯く萱島さん。
車両の周りには磁気のような黒いモヤが、どんどん包み込むように広がっていた。


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作者名: | 作成日時:2023年8月20日 22時

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