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朝になり、さらに風は強くなっていた。

作戦を決行する時がやってくる。
白浜さんや立花さんが電源を入れに行く役目を担うことになった。


「私も行っていいですか」

「急ぎましょう。嵐が近い」


急いで変電所に行き、無事にスイッチを入れて通電させて、そのまま帰路につく。

その途中の砂漠で萱島さんに出会った。
どこか寂しげな表情の彼に、私は声をかける。


「本当に行かないんですか?」

「元気で暮らせよ、俺も頑張るから。もし弟に会ったら頼むわ」


作ったようなポーカーフェイスが、さらに胸を締め付ける。

もう迷わない、私は決めた。


「私も、ここに残ります。離れないって言ったこと、破ったりしませんから」

「無理して、そんな事してほしくない。戻ってやり直したいって言ってただろ」

「私がいるべきなのは、萱島さんの側です。その気持ちは嘘じゃ無い。いくらそっぽむかれようと、冷たくあしらわれても、自分でも嫌になるくらい、貴方が好きなんです」


彼の隣に居続ける事でしか、私の気持ちを証明できないのなら、私はどの世界でだってその道を選ぶ。

過去と向き合えたのも、どう生きるのかも、萱島さんがいたから、私は変われた。
もうその存在は大きすぎて、萱島さんのいない世界は想像できなかった。


「愛だの恋だので決めることじゃねぇだろ。生きるか死ぬかだぞ」

「だったら一緒に戻りましょうよ!私からも、弟さんからも逃げないで向き合って下さい。何もしてくれなくていい、萱島さんがいればそれだけでいいって思える人間は、私だけじゃないはずですから」

「わかったようなこと言うなよ」


こんなに直球でぶつかっても、また背中を向けられてしまう。
でももう私には、ただ真っ直ぐ伝えるしかできない。

萱島さんの心に手が届きそうで、でも届かないのがすごく悔しい。

白浜さんがツカツカと歩み寄ってくる。
珍しく怒っている様子で、萱島さんの前に立った。


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作者名: | 作成日時:2023年8月20日 22時

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