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「わざわざ死にに行くようなもんじゃん。でもここにいれば最低限命だけはある。私の言うこと間違ってる?」

「間違ってないよ。そこは自分の判断でしか無いでしょ。リスクを冒してでも戻りたいか、命を優先して残るか」


萱島さんの言い草が、まるでここに残る選択肢を残しているみたいで、何だか嫌な予感がした。


それでも全員に戻ってほしいと訴える白浜さんに、戻らない選択もアリかもしれないと、加藤さんが自身の考えを伝える。

それはもし2023年に戻れたとして、何も出来ずに26年に起きる大災害を防げなかったとしたら、玲奈さんは数少ない生存者になる。

でも大災害を防げたとしたら、ここは枝分かれした未来になり、完全に孤立するというものだった。


「そんな架空の話、どうでもいいんだけど」


そう吐き捨てると、玲奈さんはその場を離れた。

貴重な生存者になり、ここで生きる、、か
私は、どうしたいんだろう。


「ここに残る人たちを誰が助けられる?みんないないのに、どうやって、、」


白浜さんの、小さな嘆きが聞こえた。
やっぱり、全員助けようとしているんだ。



次の日。

白浜さん、畑野先生、萱島さんで水汲みをし、車両に戻ってきた。
風が強くて水場が心配だったけど、綺麗な水が汲めて良かった。

不意に、萱島さんが口を開いた。


「俺は、ここに残るかも」


やっぱり、、、
驚きは無かったけど、なんとも言えない切なさを感じる。
萱島さんの中での私の存在って、なんなんだろう。


「ほら加藤も言ってたっしょ。ここに残る人も必要だって。そういう役割があんなら、俺は結構上手くやれるんじゃないかって、たとえ最後の一人になってもさ。ぼっち得意なのよ」

「弟さんは?会いたいんじゃなかったのか」


もし会えてもどう接していいかわからないと、弟さんにも背を向けた萱島さん。

なんで、全部捨てようとするの。
なんで、、、


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作者名: | 作成日時:2023年8月20日 22時

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