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加藤さんがピンときたようで、自身の大学の教授の記事をみんなに見せる。
「ワームホールが開けばタイムワープは可能」
そこには確かにそう書いてあった。
未だ困惑した空気の中、続けて江口くんが図を書き説明する。
その図とわかりやすい説明に何とか理解できた。
ワームホールという言わば穴のようなものから、タイムワープしてここに来た。
それは超新星爆発という衝撃によって引き起こされたということで合ってるかな
「もし戻れたら、お母さんと温泉に行きたいな」
立花さんの言葉を皮切りに、口々に帰れた先の未来の想像が始まった。
どうやってここに来たのかという、考えても考えてもわからなかった謎が少し解けかけて、心が緩んだようだった。
戻った後か、、、
「何都合のいい事ばっか言ってんの、のんき?忘れたの?2026年大災害が起きるって、戻ったらみんな死ぬんだよ」
「でももしかして未来を変えられたら、多くの人を救えるかもしれない」
「でももし失敗したら?みんなが死んでくのただ黙って見てるだけ?このままここに居れば普通に命はあるんだし、その為に私たち選ばれたんじゃないの」
確かに玲奈さんの言うことはもっともで、大災害に巻き込まれて、死にに行くようなものかもしれない。
生き残るために選ばれた。
この場所にいる意味もあるのかも、、
沈んだ空気の中、白浜さんが地図を出して、これを元に歩いてみようと提案した。
ここが私たちのいた場所なのか、何もかもわからない事が多い。
ぐしゃぐしゃの頭を整理するのにも丁度いい。
窓の外を見ると、萱島さんが歩き出しているのが見えて、無意識に駆け寄った。
「行くんですか」
「向こうの自己責任みたいなノリの方が性に合ってるから、帰れるとも思ってないし」
「私も行っていいですか?」
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作者名:藍 | 作成日時:2023年8月20日 22時