64 ページ14
.
「萱島さんが、、」
萱島さんが賭けで勝ち、向こうにいる権利を得た事。
そしてその賭けにこちらの人間も、どこででも食料を取れる自由を条件に加えた事を話した。
全員の顔が切なく沈んでいる。
口はいつも突き放すように冷たいけど、彼の行動はいつも私たちの為になっていて、
それなのに、出て行くなんて、、、
そのみんなの様子を見て、白浜さんが口を開いた。
「萱島さんの話を、聞きに行ってきます」
二人とも戻らないまま日が暮れる。
もし、萱島さんが戻らないなら、どれだけの喪失感に苛まれるんだろう。
そうなるくらいなら、私も彼に着いていこう。
そう決心したとこに、白浜さんが森の中から出てくるのが見える。
その後ろにノロノロと歩く萱島さんの姿もあった。
はぁ、とりあえず戻ってきてくれたんだ。
良かった、、、
「向こうの車両の海老原さんという方から話を聞いたんですけど、まず隕石で間違いないかと」
寺崎さんが持っていた光る石を手にして、白浜さんがみんなに告げる。
隕石、言葉はわかるけど見たのは初めてで、ピンとはこない。
「そして、こっちでよく見るオーロラは宇宙磁気圏の乱れなんじゃないかって」
聞き慣れないワードにみんなが困惑する。
もちろん私も。
加藤さんがスケッチブックを使って説明を始めた。
宇宙磁気圏とは、様々な粒子から地球を守る磁気のバリアのようなもので、それが何らかの衝撃によって乱れ、オーロラが見えるようになったと。
そして、向こうの車両から移ってきた将くんは、こっちに飛ばされる直前に流れ星を見たと証言した。
「あの時の地震、流れ星は超新星爆発なんじゃないかって」
超新星爆発?
なんだかSF小説のような世界になってきた。
.
93人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藍 | 作成日時:2023年8月20日 22時