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白浜さんの姿が見えない。
きっと駆けずり回って、畑野先生を探しているんだ。

畑野先生、大丈夫かな。
探しに走り出したい気持ちを、グッと堪える。


「玲奈さん、良かった。無事に戻れたんですね」

「、、殴られたの?」

「しがみついて、畑野先生を逃がそうとしたらやられちゃいました。でも軽い脳震盪程度だと思うんで、大したことないです」


先に逃げたことを気にしているのか、ふいっと視線を逸らして、曇った顔をしている。
そんなの気にすることないのに、無事でいることが一番大事なんだから。


「いや大した事あるだろ、人の事気にかける前に、自分の心配しなよ。無茶な事してまた殴られてんだから、倒れてるの見つけたこっちの身にもなれよ」


こちらに顔を向けないまま、低いトーンで淡々と告げる萱島さん。
その声色から明らかに怒っているのは伝わる。

心配かけたのかな、
それは悪かったと思うけど、でも、


「心配かけてすいません。でも守りたかったんです。あの場から畑野先生を逃がせたから、私は殴られても構いません」

「おひとよし通り越してただのバカだな」


呆れた様子でため息をつかれた。
でも呆れられたって、私は私が正しいと思う事はしていく。


その時、息を切らせた白浜さんが、電車に飛び込んで来た。


「Aさんが倒れていた辺りは探したけど、ダメだった」

「やっぱり行くしかないだろ」


二人で顔を見合わせると、飛び出すように駆け出して行った。
多分向こうの車両に捜索に行ったんだと思うけど、大丈夫かな。

誰かと揉めて、怪我をしてしまうんじゃないかと、ハラハラする。

でも今一番心配なのは、畑野先生。
どうか、どうか無事でいて下さい。


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作者名: | 作成日時:2023年8月20日 22時

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