ペンディングトレイン

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「でもあの日A先生は全ての責任を被った。教師らしいと私は思いました」


畑野先生、それは間違ってるんですよ。


「全てが表に出たあの日、それは他の先生に目撃された事から始まりました」


〈私は、彼に何度も襲われました。ですが彼がここまでになってしまったのは、あの始まりの日に告発しなかった私の責任です。生徒の罪を知っていて見過ごし続けました。申し訳ありませんでした〉

［A先生がそう言うなら、この件は全て貴方を処分する事で納めていいですか？生徒を警察に突き出して、事件にするというのはあまりに影響が大きすぎるんでね］



「なんて酷い話だ、」

「あの校長なら言いそうです」

「それで、生徒の犯罪を揉み消した訳だ。それこそあんたも共犯だな」


萱島さんはいつも物事の確信を突くから、
その目がいつも怖かったんだ。

私は私を正当化し続けたかった。
私は被害者で、だけど彼を許したフリをして、彼を守ったつもりになっていた。

いつだって一番の悪手を選び取っていたなんて、馬鹿馬鹿しくて笑うしかない。


「私のしたことは、彼を自分の罪から逃して、償うチャンスを捨ててしまった。それは彼にとって一番酷いことなのに、それが正しいと思ってたなんて、自分を可哀想がることに必死で、他が見えていなかったんです」


自己犠牲に酔うなんて、
まるで正義感を振りかざす子供のようで、


「わいせつ教師だとあっという間に学校中に広がり、大好きだった居場所は無くなりました。付き合っていた人にもフラれて、親も遠ざけて、不幸のどん底にいるような日々で、そしてあの日、とうとうクビを宣告されに学校に向かおうとあの電車に乗ったんです」


振り返ると、本当に恥ずかしくなるくらい痛々しく、惨めな人生だと突きつけられる。

でもこれが私が必死に足掻いてきた結果なんだ。
変えようもない、これが私なんだから


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