桜前線 1【GO】 (ページ31)

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31　必殺技のオンパレードページ31

翌日の放課後、サッカー部の練習を見に行った。部員のうち見覚えのある姿を見つけた時は驚いた。あれは...この前の不良。どうやらあの人が剣城らしい。現実の姿と、試合中継画面の中の姿がようやく一致した。神童くんが部員に指示を出し、一部の部員が動き出した。何かが始まる。

「いくぞ！アルティメットサンダーだ！」

神童の掛け声に合わせて剣城が走り出し、その間他の選手がパスをしてエネルギーを貯める。剣城がそのボールを力強く蹴り出し、それは遠くで火花を散らして爆発した。凄い威力だ。気圧され、唖然とする私に霧野くんや他の部員は言った。

「このシュートは最後に蹴る人のキック力が要なんだ。神童や倉間でも成功できなかった」
「二人はテクニックでシュートを決めるタイプだからな。仕方ない」
「これは高いキック力をもつ剣城だからこそ成功できたタクティクスなんだよな」

ふと視線を移すと、同じクラスの倉間くんがいた。視線を向けると、目を逸らされた。その時、正面から天馬くんが走ってきた。

「先輩！見てください。俺、新しい必殺シュートができたんです！」
「えっ。すごいね。見せてほしいな」
「いきます！マッハウィンド！！」

目の前で放たれたそのシュートはスピードや威力に優れていた。風の勢いが確実に増している。

「天馬くん、すごい！」
「へへっ」
「天馬だけじゃないですよ！僕だって、たっくさん練習して必殺技作ったんです！」
「おう信助。見せてやれ」
「頑張った成果なんだド」
「はいっ！」

雷門のキーパーの人がボールを高く高く蹴り上げる。まさか、と思った瞬間、信助くんは高く飛び上がった。並のジャンプじゃない。誰にも真似できない程の高さだ。信助くんはボールに届いてみせた。それだけではなかった。

「ぶっとびジャンプ！」

高い位置から蹴られたボールはゴールへ突き刺さった。信助くんは軽やかに着地し、得意げな笑顔を見せた。

「信助くん、すごいね。どうしてあんな高いところまでジャンプできるの？」
「たくさん練習したからです！」

すごいなあ。見ないうちにどんどん成長してる。伸び代の塊だ。
...私も必殺技、やってみたい。ウズウズしてきた。ボールに触れたい。居ても立ってもいられなくなり、河川敷に直行した。