桜前線 1【GO】 (ページ29)

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29　目指せ！リフティング100回ページ29

今日も放課後にサッカーの練習をする。先週ヒロトさんから出された宿題を明日までに達成しなくちゃ。リフティングが最低50回できるまでは家に帰らないぞ。そう決意してリフティングをするも、長くは続かない。でも、絶対やり遂げてみせる。脳裏にこの前観た試合の景色が過ぎった。あんなにアツい試合を見たら、自分もサッカーをやりたくなってしまう。不可抗力というものだ。

21回、22回、23回、24回、25回、26回...

「ここにいたんですね」

27回、28回...えっ

リフティングの足を止めて振り返る。ボールの転がった先には神童くんがいた。

「授業が終わってから急いでどこに向かうのかと思えば、やっぱりここでしたか」
「神童くん。あれっ、部活は？」
「後で行きます」

リフトアップの後、神童くんの膝の上を跳ねた。しばらくリフティングしたら、今度はパスが飛んできた。私の番だ。ボールを膝の上、そして足の上で何度か跳ねさせた。しかし、すぐに失敗した。

「あちゃー」
「フォームは良いと思います」
「本当!? 今ね、リフティング連続100回目指してるの」
「そうですか。頑張ってください。...今日も夜遅くまで練習するんですか？」
「うーん、そうかも？」
「だったら、部活終わりに迎えに来ます。もし100回達成できたら、俺と勝負しましょう」
「合点承知！」

リフティングの練習をし続け、とうとう100回越えを一度だけ達成できた。その夜、部活終わりの神童くんとリフティングがどれだけ続くかの勝負をした。結果は僅差での負け。私は97回。神童くんは100回だったけど、彼にはまだ余裕があった。翌日の放課後、ヒロトさんにリフティングの成果を見せたところ、褒めてもらえた。嬉しくなり、呼吸をするような感覚で毎日リフティングをした。