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side.弟
隣で眠るAちゃんを起こさないようにゆっくりと起き上がって、スマホを見る。
だいぶ時間が経っていて、夜ご飯すら食べずに眠ってしまっていた。
「 やべ、兄貴からめっちゃ電話かかってきてる。 」
俺は現実逃避しすぎていたせいで、すっかり兄貴のことが頭から抜けていた。
今日、夜ご飯当番俺だった。
溜まる不在着信の通知を一つ押せばワンコールで繋がる。
「 "よう夜遊び弟者くん、手前ェ今どこだ。" 」
「 今、えっと、女の子の家にいる…。 」
「 "一言連絡入れろよお前なあ。結局おついちさん呼んでご飯食べちまったよ。帰るのか?帰ンねえのか?" 」
電話越しには兄者の声だけじゃなく、おついちさんの声も聞こえた。
スピーカーにしているのか話の内容は筒抜けだった。
「 "え?女の子?もしかしてこの前から言ってた子?ふふふ、やるねえ弟者くん。" 」
「 ちょ、おついちさん揶揄わないでよ。 」
「 "ま、いいや。じゃ、帰ってくるなら一言連絡入れろよ。" 」
「 "弟者くん、楽しんでー。" 」
そう言って一方的に電話が切られる。
俺は頭を抱えてベッドに腰掛けた。
後ろを見れば静かに寝息を立てるAちゃん。見れば見るほど可愛い。
俺はさっきのことを思い出して、気持ちがたち上がる。それを抑えるように、彼女の頭を撫でてみれば気持ちよさそうに身を捩る。
「 俺たち、今日から恋人でいいってこと? 」
返事がしないとわかりきっていて俺はAちゃんに問いかけた。
俺は彼女をもう泣かせないようにしようと心に決め、立ち上がって何かご飯の準備ができないかとベッドを離れた。
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作者名:まる | 作成日時:2024年3月12日 18時