出会いは偶然に ページ2
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「 A〜！今日から入る新人の子。教育係として見てあげてね。 」
「 …あ！ 」
「 あ…、どうも。 」
大学一年、私Aは運命ってものをあんまり信じてない。
でも神様はそういう人に限って、"これが運命なんだ"と思わせるような人生を送らせているに違いない。
ことの始まりは今朝のことだった。
....
サークルの勧誘が多い大学のメインストリートを一人で歩き、講義の教室まで向かう。
四方八方から伸びてくる手と紙。
煩いまでに感じる人の声の群れ。
彼らと目を合わせないように地面とスマホを交互に見ながら、メインストリートを去ろうとした。
「 ねえねえ、君一年生？ 」
「 …はい、そうですけど。 」
「 へえ！可愛いね、名前は？ 」
「 あ、えと…、 」
後ろから声をかけてきたのはチャラそうな見た目の学生。口ぶりからして私より先輩。
手に持っている看板には、テニスサークルの文字が見える。
周りは私たち二人なんか見えていない。
むしろこんな光景どこにでもありすぎて、気に留められていない。
私は、返事に困った。
昔から誰かの誘いを断れるような性格ではなくて、引っ込み思案でネガティブ体質。
おまけにこんな堂々とナンパされるなんて初めてだったから、戸惑いを隠せないでいた。
「 俺、テニスサークルの3年の——- おわっ、 」
「 ———うわ、 」
彼は、さらに後ろから歩いてきた人にぶつかられ言葉を遮られる。
ぶつかってきた本人は、悪気がなさそうに見えるも周囲から揶揄われているような雰囲気で私と彼を交互に見て言葉を発した。
「 あちゃー、すみません。！…あ、えと大丈夫すか？ 」
「 …ってーな前見て歩けよ。 」
「 おーい、弟者！ちゃんと周り見て歩けよ。 」
「 入学早々怪我させるなよな。 」
弟者、そう呼ばれた男性とぱちりと目が合う。
特徴的な赤茶っぽい髪に、人懐こっそうな笑顔を浮かべていた彼に見惚れてしまう。
彼は尻餅をついた先輩に軽く謝罪をした後、私を少しだけ見てすぐに一緒にいた友人たちと歩いて消えてしまった。
人混みの中、私は追いかけようとしたけど無理だった。
話しかけてきた先輩の勧誘のチャンスから逃れるように、私もそのまま人混みへ紛れることにした。
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作者名：まる | 作成日時：2024年3月12日 18時
