和菓子屋 ページ12
「師範と二人で出かけられるなんて、久しぶりですね!」
「でしょ? たまにはいいかなって思って」
柱合会議も終わり、たまたま休みが取れたので、Aは健心と共に街へ出ることにしたのだ。
それに⋯⋯
「ここ、お薦めの和菓子屋さんなの!」
「わあっ素敵ですね!」
水菓子や羊羹が並ぶおしゃれな店。
「ここなら健心の想い人も喜ぶんじゃないかって」
そう、少し前に杏寿郎から聞いたのだ。健心には鬼殺隊の仲に好きな人がいる、と。
相手が誰なのかは聞いていないらしいが、Aは師範としてその恋を実らせて欲しいと思い、女である自分のお気に入りの店に案内した。
「し、師範っ! 杏寿郎から聞いたんですか!」
顔を赤くして叫ぶ健心。
Aはそんな彼をかわいいと見つめながら、得意げに言う。
「きっとこの店なら、どの女の子も幸せな気分になってくれるんじゃないかなぁ」
「師範もですか?」
「うん、私は一番水羊羹が好き」
栗羊羹とかも美味しいよ、と付け加えると、「何回ここ来てるんですか」と突っ込まれる。
「じゃあ、お土産選ぶんで、師範は見ないでくださいよ! 外で待っててください!」
「はーい」
教え子の恋愛成就を祈りつつ、店から出る。
会議で決まった新しい範囲—Aの父が暮らす場所—からは、まだ鬼の出没情報はない。
念入りに確認はしているが、気配を感じたことすらない。
「それならいいんだけど」
ぽつりと呟く。もう誰も周りの人が死んで欲しくない。
早く鬼を、無惨を倒し、皆が幸せに生活できる日々を迎えたい。
健心だって、その彼女と結ばれて幸せになって欲しい。
二羽の鴉が声を上げながら飛んでいるのを呆然と眺めていたら、それが鳴き声でないことに気づいた。
健心とAの鎹鴉。
「Aスグニ任務ノ準備ダ」
「彩雲!?」
きっと方向音痴の彩雲を心配して、健心の鴉が案内したのだろう。
「産屋敷様ヨリ鬼ノ気配有リト連絡ガアッタ。場所ハ、」
その場所名を聞くなり、Aは青ざめた。
「師範、どうしました?」
店からでてきた健心に、半ば悲鳴のような声で叫ぶ。
「健心ごめん、私行かなきゃ!」
そして彩雲を抱き上げると、一目散に現地へ向かう。
新しく追加された区域で鬼出現。
父だけでない。鬼殺隊に入る前に優しくしてもらった人がそこにいる。
加えて。
もう大事な人を失いたくなかった。
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魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - Tenri.Tさん» コメントありがとうございます。ここではお答え出来ませんが、乞うご期待ください! (7月6日 7時) (レス) id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
Tenri.T - 夢主も大切な人を鬼に殺されたんですか? (7月3日 11時) (レス) id: f7528beaac (このIDを非表示/違反報告)
魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - yurineさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていてください♡ (2023年3月12日 16時) (レス) id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
yurine(プロフ) - 続き気になります! (2023年3月12日 11時) (レス) @page4 id: 79b141f983 (このIDを非表示/違反報告)
魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - ねこねこさん» コメントありがとうございます!おばみつ推しの方にとっては不快なストーリーになってしまうんですが、楽しんでいただけたら幸いです♬︎ (2023年3月7日 20時) (レス) @page1 id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魔凜芭(マリンバ) x他1人 | 作成日時:2023年2月19日 14時