同じ車両の角名くんと (ページ1)

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私たちのはじまりページ1

A

音楽が好きで吹奏楽部の強い稲荷崎高校に入学

実家の愛知から遠いが親戚のおばさんの家にお世話になりながら始まった高校生活

部活も楽しく友達にも恵まれた

そんな私は今高校生活1番の危機に襲われていた

ガタンガタン

「…」

『っ…！』

痴漢だ

中年男性は私が怖くて声が出ないことをいいことにずっと触ってきた

スルッ

『ひっ…！』

ついにはスカートの中に手が伸びてきて私は硬直してしまった

誰か、助けて

「おっさん何してんの？」

『え？』

「な、なんだお前！」

「いやいや俺が今聞いてんだけど」

背の高い男子がおじさんと私の間に入った

「べ、別に何も…」

「ヘェ〜、じゃあこれ何？」

彼はおじさんにスマホを突きつける

そこには証拠になるだろう動画が撮ってあった

「みっともないよ」

『あ、ありがとうございました』

「災難だったね、大丈夫？」

『うん』

あ、同じ制服だ

「よかった、八代さん気をつけてね」

『え！？』

「え？」

『なんで名前…』

「八代Aさんでしょ？かわいい子が吹部にいるって噂になってるよ」

『え！』

「俺、角名倫太郎バレー部」

一応となりのクラスだと自己紹介をしてくれた

「よろしく」

『う、うん！よろしくね！』

これが私たちのはじまりであった