課題16 ページ19
チャイムが鳴り放課後。校内は文化祭準備に勤しむ生徒の姿が各所で見られる。
まぁつまるところ暇なのだ。
このまま帰ってもいいのだが、帰ってもすることが無い。職員室も同様だ。大半の先生は準備を手伝っているし、そうでない先生は帰ってしまった。
職員室以外では何かと邪魔者になってしまうが、ここなら大丈夫だろう。
『こんにちは響凱先生』
「煉獄先生……こんにちは。
久しぶりにあれですか」
『はい。良いですかね?』
「どうぞ。ですが小生は帰るので鍵をお願いします」
『承知した!では』
鼓をポンポンと叩きながら帰って行く響凱先生を見送り……
『さて……』
楽器保管室の扉を開け、奥の方から アコースティックギター、アコギを引っ張り出した。
そして椅子に座って、少し行儀が悪いが脚を組む。
弦を弾くと、久しぶりの感覚に笑みが溢れる。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!?!?」
『!?』ガタッ
突然の大声に驚いてギターを落としかける。
「嘉柳先生ギター弾けんのぉぉ!?」
『あ……いや、これは……』
我妻が何やらキラキラした目で近寄ってくる。
「先生、俺を匿ってくださぁい……今追われてて」
『追われてる……?誰に?』
「あの輩教師です!」
『や、輩……』
「ていうか先生いつもここにいるんですか!?」
『いや、今日は暇だからここに来た。実は音楽室が好きなんだよ。学生の頃はよく入り浸っていたな』
「意外ですね……古典の先生だからギターには興味無さそうだと思ってました」
『確かに最初は無かったよ。ただ、宇髄の影響で始めたんだ』
「えぇ!?てことはあいつの後輩……!?」
『そうなるな。我妻もギターは弾けるのかい?』
「ちょっとだけですけど……」
『響凱先生が君のことを褒めていた。音をよく聴き取れる良い耳を持っているとね』
「耳だけは良いんですよ」
『そんな事ないさ。だけ、なんて言わない方がいい。可能性が消えていくだけだ』
私がそう言うと、我妻は明るい面持ちで椅子を持ってきた。そして私の前に座って
「何か聴かせてください!嘉柳先生のギター聴きたいです」
『!……う、む……断りづらいなぁ……』
若干困りながらも、弦に指をかけた。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すみた先生 | 作成日時:2021年4月29日 9時