王様ゲーム、切望。

命令9 ページ15

田中「月島まで……！クソっ、見つけらんねぇし……どうする」

西谷「……考えがある。行こう」

田中「？お、おう」



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黒尾「ごめん……研磨……」

木の傍で廃人のように項垂れる黒尾を見つけたのは、つい5分前の事だった。孤爪に気付いているのか定かではなく、ただ孤爪の名前を呼んでは謝っているのだ。


気が狂いそうだ、と孤爪は目を閉じた。傍にある灰羽と夜久の死体より、立ち込める異臭より、何より。

黒尾の生気がない様子に気分は奈落に落ちていく。声を出さなければ生きている事すら認識出来ないだろうその脱力した体は、孤爪が来てからピクリとも動かず、ただ経のように抑揚の無い声で名前と謝罪を口にするばかりである。


孤爪「……クロ」

黒尾「ごめん……ごめんなぁ……研磨……」


こんな姿、見たくなかった。


幼馴染の変わり果てた姿を目の当たりにして何を思うか。日常でそれを考えるなら何とも思わないだろうと結論付けるはずだ。しかし、実際に体験してみて思うのは言葉にならない悲しみや恐怖、不快感だった。否、それに名前を付ける事は出来ない。


孤爪は黒尾の隣に腰を下ろす。呟きの声が近くなり、心臓が締め付けられたように痛む。孤爪は膝に顔を埋めて黒尾の名を呼んだ。そのあまりにも弱々しく震える声に、黒尾の言葉は止まった。


孤爪「クロ………死にたいよね……」

黒尾「け…んま……？」

そこでやっと黒尾は、自分の視線があちこちに向いているのに気付いた。


孤爪「俺はもうやめたい……続けるくらいなら死んだ方がマシだと思ってる…………クロは、そう思わない……？」

黒尾「……ぁ、あ……やめたい、よな………ぅん……俺らしか、居ねぇのか………」

視界に入る灰羽の腕を眺めながら黒尾は吐息のような声で言った。


孤爪「……クロ」

顔を上げた孤爪。それに呼応するように、固まった首周りの筋肉を使って黒尾も顔を上げる。


かちり。二つのパーツが繋がるように二人の視線は一直線になった。



孤爪「……クロ、俺……クロを救けたい……」

黒尾「……ぇ……？」


苦しげに眉を顰めた孤爪の声は大きく震えていた。



孤爪「クロ……









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…っ………見っけ」




幼馴染のこんな姿は、見たくなかったのだ。

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