王様ゲーム、切望。

命令9 ページ18

風が揺らす草の音が二人の間の音だった。



宮侑「……は？何言うてんねん」

宮治「せやから、もう終わりにせんか」

宮侑「何をやねん。おかしいぞお前」

訳の分からない事を言い出す片割れを侑は怪訝の目で見た。しかし治は変わらずそこに立っている。

訳が分からない。分からないのに、呼吸が荒くなる自分が居た。


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宮治side


きっと俺らは間違ってた。最初から。気付いても、そのまんまにしとったのは俺や。


俺らはずっと共犯者やったから。大丈夫、ちゃんとやってける。そう思ってた。



宮治「……ツム、気付いとらんかもしれんけど……



お前、人格2つあるんやで」



宮侑「……は……？サム…何を……？頭やったんか……？」

宮治「……もう見てられん。お前のそないな姿、見てると辛いねん」

宮侑「せやから、何を……！言うてんねやっ！！」

宮治「っ」


首にかかる両手。息を荒らげた片割れが何度も"違う"と繰り返す。
息がしづらくなって、それでも言わなあかんと思った。自分の右手をツムの左腕に乗せる。

宮侑「……！」

宮治「す、まんなぁ……っ、最初から……アイツの、は、なしになんか……乗らんっ、とけば……

ごめんな、ぁ……侑……」

本当に済まなかったと、自分なりの精一杯の感情をその言葉に乗せた。一瞬、力が弱まって空気が喉を通る。


宮侑「……あか、ん……それ言うたら……あかんやつや……っ、言わんで……サムっ」

首を振りながら再び力を込め、"殺させんでよ"と呟いた侑。その目には、厚い透明な膜が張っていた。


宮治「お、れのせいで……っ、狂わせて、しもて……、ほんま……すまんかった……」

宮侑「ちゃう……何やそれ……ちゃうぞ……っ、サム！おかしくなったんやろ！？せやんな！？俺と同じ事考えとるんやろ！俺らは何も知らん」

言葉を遮って、最愛の片割れの名を呼んだ。





宮治「見っけた。すまんな侑、あっちで待っとって」

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