王様ゲーム、切望。

命令9 ページ17

木兎「木葉っ！！」

木葉「っ……ぼく、と…逃げろ！」




宮侑「ほ〜んま、ええ関係やなぁ羨ましいわ」

地面に倒れる木葉にゆっくり近付く侑。その手にはロープの片端が握られていた。

宮侑「ぼっくん、木葉くん。ここは自分らの敷地やろ？ちゃんと把握しとらな、こうやって罠にハマるんやで？」

木葉「っ……下衆が。木兎！お前さっさと逃げろ！！」

手を伸ばしかけたところで木兎は肩を揺らす。木葉の目を見つめる瞳も揺れていた。そんな丸い目を、木葉は確固たる眼差しで睨み返した。


木兎「っ、木葉ぁ……」

木葉「……チッ。へこたれてんじゃねぇぞ木兎！お前……お前はさぁ！……っ、ダメなんだよ……生きなきゃ。お前は生きなきゃダメなんだよ！」

木兎「……で、も…」

木葉「コイツら待ってくれねぇんだぞ！いいからっ、さっさと行け馬鹿野郎ォ！！」

木兎「！！……─────ごめんな」


木兎は走り去る。木の間を縫って、泣かないと決めた目に滲む涙を頬を殴って止めながら。その背中を、木葉は満足気に見送った。


宮侑「……サム、なんで追いかけんのや」

宮治「俺がアイツに追いつけると思うか？」

宮侑「……。まぁええわ、そのうち見つかるやろ。

木葉くん、抵抗はせんといてな。あんま傷つけんのも俺の趣味ちゃうし」

痛めた足を庇って木葉は口元を歪め、侑を睨み上げた。

木葉「はっ……こんな姑息な手使う時点でお前が優しくないのは分かってるよ」

宮侑「つれへんなぁ……」

周囲に目を向けた後、素早く身を折って木葉の首に手をかけた侑。


木葉「っ……！が、はっ……ぅ…っ！」

宮侑「年上とか関係あらへん。今は鬼と逃走者、それだけや」

左手は木葉の首を握ったまま、右手の人差し指と親指で瞼を押し上げた。苦しげな小さい瞳が侑の大きな瞳とかち合う。



宮侑「見つけたで」



その声を合図に、二つの携帯が鳴った。呻く木葉を放って、侑は治に携帯を見せた。


【捕まった者に罰を与える。
梟谷学園
木葉秋紀】

【服従確認】


宮侑「これで俺もクリアっちゅう事やな。あとはお前だけやサム、さっさと見つけて」

宮治「ツム」

宮侑「……あ？」




光の無い瞳が、瓜二つの光の入った瞳とかち合う。




宮治「もう、終わりにしようや」

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