28 ページ28
.
ーー……! 、────……ッ!
沼。でもそんなに居心地の悪くない沼の上から声がしたから、引き上げられたから、目を開けた。
埃とカビが鼻につく空気を呼吸1回分取り込んで、凭れていた壁の冷たさで視覚が還る。両肩に掴まれている手は、あ、
「A!」
「……なんで?」
「こっちが聞きてーよ……」
「帳解いたら呪霊と生徒が消えた」って補助監督から緊急連絡が来たんだって。呪霊はともかく私が消えるとかありえないのに。補助監督の人絶対クスリやってるに違いない。
悟が呆れたように頭を掻いている。
廃工場の仄暗い視界を滲ませている両目をパタパタ瞬くと、温い水がするりと流れた。
「泣くほど痛い怪我なんてしてねーだろ、てかこんな油臭いとこで寝んなマジで」
ごつん。こつんじゃなくて、ごつん。クソ痛い。石みたいな拳が頭の上に降って来たけど、あれ、今は怒る気になれないな。
「……なあ、」
「……ううん。なんでもない」
ーーすごく 幸せな夢を見てた気がするだけ。
.
夢主の口調が段々解れていってることに戸惑いを感じております(^^)アワアワ
3016人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2020年12月30日 22時