捕らわれのお人形さんは恋をする (ページ18)

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出来損ないのお人形ページ18

騒動もなんとか収まり、私は誰にもバレないうちに自室へともどった

扉を閉め、勢い良くベッドへ飛び込む

少し沈むマット

柔らかな枕に顔を埋めれば、愛しき友の心配そうな声が聞こえる

ニャーニャーと、頬に顔を擦り付け励まそうとするムー

頭を撫でてやれば今度は嬉しそうにする

『心配してくれてるの？』

そう言えば、もちろん、とでもいうように元気よく返事する

そんな友人を抱きしめ、微睡みに包まれ私はそっと目を閉じた

私は夢を見た

“それ”は夢だとわかっていても止められない

手、足、首に重たい輪がはめられ、痛みに耐え嗚咽を漏らす

髪を捕まれ、罵倒され

口答えをすれば更に酷い痛みに襲われる

何時しか瞳のハイライトは消え、物言わぬ人形になる“私”を〖私〗はなす術なくただ見つめる

その時、ふと“私”と目があった

“私”は此方を見てニヤリと笑う

〈“私”は〖貴方〗は変わらない
一緒不出来な人形として生き、利用されて死ぬ
私を忘れ幸せになるなんて、絶対に許さない〉

｢......、A！！！！！｣

『......!? ﾋｭｯ、ﾊｯ、ﾊｧ』

｢落ち着いて、大丈夫

俺を見て、そのままゆっくり深呼吸｣

私はラギーにいわれるままゆっくりと息を整える

｢落ち着いたッスか？｣

『......コクッ』

｢ホッよかった、あ、何か飲むッスか？
ちょっとまってて、今もって────｣

グイ(袖を引く音)

『いか、ないで』

｢大丈夫、直ぐもどってくるから｣

『お願い、独りに、しないで』

｢ハァー仕方ないッスねー｣

...呆れられたかな

私の心配を余所にラギーは私のベッドへ腰を掛ける

｢寝るまで此処にいるから

そしたら怖くないでしょ？｣

『 ...ありがと、ラギー』

｢...!?は、早く寝るッスよ｣

『ん、おやすみ』

｢ハイハイ、おやすみ｣

私はそっと目を閉じる

眠りにつく最中

柔らかく温かい何かが額に触れた

｢良い夢を、A｣