ー ページ6
ー
「じゃあ、俺、そろそろ行くわ。しのぶの作った夕飯食うから」
Aさんの底抜けに明るい声を聞いて、ハッと我に返る。
そうだ、支度をしなくては。それにしても……Aさん、何て顔をするの。
……気のせいか、とても嬉しそうに、目を輝かせていた。
「!……しのぶ姉さん、御料理をしていらっしゃるんですか」
「知らなかったのか……?あ、しのぶ、言ってなかったのか……悪ぃ。俺ばっか、しのぶ独占して」
「あ、いえ、いいんです。最近の師範、さらにお美しくなって。きっと、隣にAさんがいらっしゃるからなんですね」
「あ、すげぇわかる。もうさ、思わず照れたときの顔とかクソ可愛いんだよ、溜まんねぇ」
こっそりと会話を聞いていて、恥ずかしくなる。
私の前でだって、あんなに褒めないのに、という、褒められ慣れていない恥ずかしさと。
あんなにいい子のカナヲに、嫌な気持ちを持ってしまったことで。
「しのぶ、料理も上手いんだ。日に日に美味しくなってく。今度、栗花落もねだってみろよ」
Aさんはそう言って、カナヲと別れようとするけれど、カナヲはその言葉にはうなずかずに。
「あ、しのぶ姉さんは、きっと……Aさんに食べてもらいたいのだと、思います」
真面目な顔つきで、訴えた。
「…………そうか」
瞬間、顔を赤くして、口元を手で覆うAさん。
私まで、顔に熱が集まって。
私はAさんのために料理をしていた……その事実に気づいて、どれだけAさんが好きなのかを知らざるを得なかった。
ー
686人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天霧(プロフ) - うっひょうぅぅぅう!しのぶさん最高ですよ! (2021年11月5日 20時) (レス) id: 29b58b93c0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - しのぶちゃんかわいいですよね、、!更新待ってます! (2020年8月12日 22時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃこの作品好みです!更新お願いします!!!これからもがんばってください!! (2020年5月24日 21時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
イツキ - 二人のイチャイチャ楽しみです! (2020年5月10日 12時) (レス) id: a90c8d5aa0 (このIDを非表示/違反報告)
剣華 - いつもニヤニヤしながら見させてもらってます。ほんと好きです!次の更新も楽しみにしてます!がんばってください。 (2020年5月7日 12時) (レス) id: e2d859c4ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たつき | 作成日時:2020年3月30日 7時