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その頃の俺は、武術をかじりもしていなくて、近所の人達が死んでいくのを止めることは出来なかった。
気付いたときには周囲は、朱、朱、朱。
あまりに無惨だった。
兎に角、母だけは守りたい……幼い俺は、もう助かる筈もないのに、彼女の肩を抱いて、鬼を前に震えていた。
それでも今、俺が生きているのは、老婆の鬼の目に、俺が留まったからだった。
_____艶やかな黒い髪に、雪のように白い肌……おまけに真っ赤な瞳。帥は妾と真逆じゃ。欲しい_____
こんな内容だったように思う。
母も、黒い髪で、白い肌をしていたが、赤い瞳はしていなかった。……父譲りだったのだろう。
老婆が俺を必要とすることで、死を免れることができ、自分の容姿を大変有り難く思った。
勿論、老婆の鬼に連れていかれることになったが、母には手を出さないことを条件とした。
家を去るときの、母の儚げな涙だけが気掛かりだったが、あれ以来、母には会っていない。
病気で苦しんでいたに違いない。
……独りにしてしまって、すまなかった、母上。
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mikitty(プロフ) - 好きです!!!! (2022年12月25日 13時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草(プロフ) - やっぱり何回見ても最高だなぁ、ぐへへ(( (2020年12月19日 14時) (レス) id: 4fc468f2f2 (このIDを非表示/違反報告)
柴犬(プロフ) - 素敵な作品ですね...、愛情表現や色気のあるシーンがすごく好きで一気読みしてしまいました。他の作品も読ませて頂きたいのですがパスワードというのはどちらで伺えばいいのでしょうか...? (2020年5月30日 9時) (レス) id: 87b58a18e6 (このIDを非表示/違反報告)
ohagi - めっちゃ最高でした。自分も腐ってるのでBLの方がよけい萌えました! (2020年3月31日 14時) (レス) id: 8e8ba22e4c (このIDを非表示/違反報告)
ひつじマイケル(プロフ) - お疲れ様です!読んでいてとても面白かったです!よろしければこれの短編集を読んでみたいです! (2020年3月30日 14時) (レス) id: 37a32601d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たつき | 作成日時:2020年2月29日 20時